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悪魔のささやき

気象予報士の視点から科学的に捉えた地球温暖化問題の真相を追究。 地球温暖化を信じて疑わないあなたの耳元に聞こえる悪魔のささやき。それでもあなたは温暖化信者でいられるか?温暖化対策は税金の無駄遣い。即刻中止を!!! Stop"Stop the global warming."!!

   

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暁新世・始新世温度極大期;3.繰り返す温暖化イベント

 これまでPETMについての特徴的な所見を見てきたが、地球の歴史においてこのような極端な温暖化イベントはまれなできごとなのだろうか?という疑問が湧いてくる。深海から掘削した堆積物コアは重量%において90%以上を炭酸カルシウムが占めており白っぽい色をしている。ところが、PETMの層準では炭酸カルシウムの重量比が10%以下まで低下しており特徴的な暗赤色の粘土層となっている。
 LourensらはWalvis Ridge(亜熱帯南大西洋のアフリカ沖にあたる)から得られた堆積コアの下位始新世の地層からElmo層準と名づけた暗赤色の粘土層を発見している。この地層を調べてみると炭酸カルシウムの重量比が90~95%から40%以下に低下しさらにスパイク状の1.0~1.2‰のδ13Cの負移動、つまりCIEが起こりその後指数関数的な回復をしていた。また安定酸素同位体比δ18Oも1.6‰低下しており海水温の上昇を伴っていたことがわかった。まさに「ミニPETM」ともいうべき変化がこの時代にも起こっていた。この期間はEocene Thermal Maximum 2(ETM2)と呼ばれている。北大西洋、Southern Ocean、太平洋からも時代が一致する同様の特徴を持つ地層が発見されておりETM2もPETMと同様全世界的なイベントであったと考えられる。さらにPETMとETM2の期間が約200万年であり、堆積物のmagnetic susceptibility(磁化率)などの検討により両者ともに225万年の離心率周期の長期間に及んだ最小期の直後に起こった40.5万年と10万年の周期の最大期に一致して起こっていることを示している。注1) またSluijsらは、北極海のLomonosov Ridgeの海底堆積物コアのX-ray fluorescence scanning(XRF)分析によりETM2は歳差運動と密接な関連があることを指摘している。最近の氷期間氷期サイクルと同様、ここでもミランコビッチサイクルが地球の気候に対して大きな影響力を持っていたことになる。注2)
 さらにWesterholdらは同じWalvis Ridgeの掘削コアからXRFにより「(温暖化イベントは)10万年と40.5万年周期の離心率周期によって調節された歳差運動の周期によって支配されている。PETMもETM2も10万年周期の最大離心率の時期に関連して起こっている。両者ともに40.5万年周期の最大離心率期の前後4分の1の時期に起こっておりPETMは最大離心率より遅れ、ETM2は先立って起こっている。」ことを見出している。またRöhlらもWalvis Ridgeのコアから約5200万年前のPETM-like変化を示す粘土層を第3の温暖化イベントとして報告している。
 2007年にはNicoloらが、ニュージーランド南島の5400万年前から5300万年前の地層の露頭からPETMとは別の4つの陸源のマール(泥灰岩)層準を発見し、これらもPETMと同様のCIEなどの特徴を持つことを報告している。
 以上をまとめると暁新世末から始新世にかけては少なくとも5回の温暖化イベントがあった。これらはすべてCIE、すなわち大気海洋系への12Cリッチな炭素の流入を伴っていた。その中で最初に起こって最もメジャーなイベントがPETMである。また1番目のPETMと2番目のETM2は地球軌道の離心率最大期に起こり、なおかつ歳差運動とも密接な関連があることが示唆されている。このことはこの時代においてもミランコビッチサイクルが温暖化イベントの発生に深く関与していることを示している。
 
参考論文 
 
 
Röhl, U. et al. The third and final early Eocene thermal maximum: characteristics, timing, and mechanisms of the "X" event, Geological Society of America Annual Meeting Abstracts 37:264.(2005)
 
 
注1)ミランコビッチサイクルには離心率(Eccentricity)、歳差運動 (Precession)、および自転軸の傾斜角 (Obliquity)の3つがあり、離心率の周期は約10万年と40.5万年、歳差運動 は約2万年、自転軸の傾斜角の変化は約4万1000年の周期で変化しているとされている。PETMのような極端な温暖化イベントは離心率が大きくかつ近日点での地軸の傾きが北半球の夏になるような歳差運動周期のときがもっとも起こりやすいと考えられている。
 
Milaeccentricity.jpg左図は離心率による季節による地球への日射量の変化の模式図




Milaprecession.jpg左図は離心率最大時の歳差運動による地軸の傾の影響





注2)
ミランコビッチサイクルと海底堆積物の磁化率変化の関係はYamazaki,T. and Oda,H.に詳しい。彼らはニューギニア沖で採取された230万年におよぶ堆積物の地磁気の伏角と強度の変動に10万年周期があることを発見しこれとミランコビッチサイクルの離心率の変動が同期していることを報告している。
 
参考論文
Yamazaki,T. and Oda,H.Orbital Influence on Earth's Magnetic Field: 100,000-Year Periodicity in Inclination.Science 295. pp. 2435 – 2438(2002)

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いつも地球温暖化の話題ありがとうございます

  • by ペーパー予報士
  • 2009/09/12(Sat)19:32
  • Edit
暁新世・始新世温度極大期の3偏のわたる解説を大変興味深く読ませていただきました。第1編の出だしでは、はれほれさんがCO2温暖化に同調する「心変わり」を懸念しながら読んでいましたが、3編で「ミランコビッチ」との整合性でまとめられ、さすがと感心した次第です。これだけまとめられたのをネットだけで寝かせておくのはもったいないですね。へたな学位論文以上の気がします。ところで、私もペーパーの予報士資格ですが(一線を退いていますが工学系の研究者でした)、温室効果の理論は、きちんと理論を読んでいなかったときはCO2が地球の赤外放射を溜め込んで温暖化すると思っていたのですが(多分、大多数の人はそのように考えていると思います)、はれほれさんの「悪魔のささやき」他、放射平衡理論やドイツ理論物理学者のFalsi cation Of The Atmospheric CO2 Greenhouse E ects Within The Frame Of Physicsを読んで、灰色大気モデルの問題点が見えてきました。
僭越ながら、昨年示されたTKHモデルを補足させていただきますと、地表が対流(重力)による断熱圧縮によって大気平均温度が約33℃(潜熱を奪われる効果を含め約6℃/1kmの減率で)上昇し、その昇温で地表面からの赤外線放射量が増大するのをCO2を含む赤外活性ガスが抑止して、断熱圧縮効果33℃を維持すると考えても良いのではと思っています。対流による温度変化の速さが放射の効果より圧倒的に速いですね。ざくっというと97%の赤外不活性ガスは地球大気平均気温-18℃の維持に(断熱圧縮の主役ですが)、赤外活性ガスは気温減率の維持に効果するのだと思います。間違えは低温の上空の赤外線が高温の地表を暖めるとしたところで、地表の放射冷却を上空からの赤外線が補って(低温から高温に熱移動しないが、地表に入る低温大気から発した赤外線が高温の地表から出ていく赤外線を抑止する)、放射冷却を抑止するのだと思っています。灰色大気モデルの最大の問題点は、上空の低温の赤外線でまずより高温の地表または下方の大気を暖め(この部分が熱力学第二法則に反する)、その状態で対流と放射が平衡するとした点と思われます。ということでCO2はあくまで温暖化主役でなく、あっても脇役のような気がします。
政権を取る民主党はCO2の25%削減を表明したかと思えば、公共交通機関無視の高速道路無料化を掲げています。政治的に矛盾だらけの問題ですね。
まだ書き足りないですが、今日はこのくらいにいたします。これからも、期待しています。

Re:いつも地球温暖化の話題ありがとうございます

  • by はれほれ
  • 2009/09/13 19:30
こんにちは、ペーパー予報士さん。はれほれです。いつもお寄りいただきありがとうございます。

>暁新世・始新世温度極大期の3偏のわたる解説を大変興味深く読ませていただきました。第1編の出だしでは、はれほれさんがCO2温暖化に同調する「心変わり」を懸念しながら読んでいました
★PETMに興味を持っていただきありがとうございます。「心変わり」というご期待にこたえられず申し訳ありません。(笑)というか、もともと私はこのCO2温暖化問題に関しては中立な立場です。あまりにも我が国の報道が温暖化論に偏っているためほそぼそと反論を紹介しているだけです、などといってもだれにもそう思ってもらえませんけど。(笑)

>私もペーパーの予報士資格ですが(一線を退いていますが工学系の研究者でした)、
★そのような方に読んでいただいているとなると思わず緊張してしまいます。(笑)最初はわが国ではほとんど報道されないCO2温暖化への反論を紹介するという目的だったのですが、最近は本を読んでも内容をすぐに忘れることが多いもので自分自身のための備忘録という意味合いの方が大きくなってきました。(笑)

>CO2が地球の赤外放射を溜め込んで温暖化すると思っていたのですが(多分、大多数の人はそのように考えていると思います)、
★確かに彼ら温暖化論者は出発点から間違っています。「地表の赤外放射を吸収して再放射する」という主張は大ウソです。赤外活性ガスが地表の赤外線を吸収することは彼らの言う「温室効果」にとってはほとんど意味がなく、他の赤外不活性分子などとの衝突によって励起が起こりそれが赤外放射に結びつく「局所熱力学平衡」が本質のようです。TheorySurgery氏のブログに詳しいですが、
http://feliscatus.blog77.fc2.com/blog-entry-82.html#comment197
この両者の割合やCO2濃度の上昇により衝突励起の状態がどう変わるのかというのがよくわからず、それ以上踏み込めないでいます。(笑)

>昨年示されたTKHモデルを補足させていただきますと、地表が対流(重力)による断熱圧縮によって大気平均温度が約33℃(潜熱を奪われる効果を含め約6℃/1kmの減率で)上昇し、その昇温で地表面からの赤外線放射量が増大するのをCO2を含む赤外活性ガスが抑止して、断熱圧縮効果33℃を維持すると考えても良いのではと思っています。
★断熱圧縮よる昇温が放射によって減弱するのを赤外活性ガスが弱めているということですね。その点は同意します。

>対流による温度変化の速さが放射の効果より圧倒的に速い
★温度変化の速度については考えたことはありませんでしたが、確かにおっしゃるとおりですね。
>97%の赤外不活性ガスは地球大気平均気温-18℃の維持に(断熱圧縮の主役ですが)、赤外活性ガスは気温減率の維持に効果するのだと思います。
★これは↑の主張とも整合性があります。赤外不活性ガスはおっしゃる役割とともに赤外活性ガスと衝突しこれを励起させるという役割も担っているようです。これの増減によっても励起率の変化が起こって気温が変化する可能性があるということですが、残念ながら私の力量では定量的な考察はできません。(笑)

>間違えは低温の上空の赤外線が高温の地表を暖めるとしたところで、地表の放射冷却を上空からの赤外線が補って(低温から高温に熱移動しないが、地表に入る低温大気から発した赤外線が高温の地表から出ていく赤外線を抑止する)、放射冷却を抑止するのだと思っています。灰色大気モデルの最大の問題点は、上空の低温の赤外線でまずより高温の地表または下方の大気を暖め(この部分が熱力学第二法則に反する)、
★この部分は、その通りと思います。このようなおかしな説明が世界中で通用するというのは科学者の責任だと思いますが・・・・・。

>その状態で対流と放射が平衡するとした点と思われます。ということでCO2はあくまで温暖化主役でなく、あっても脇役のような気がします。
★すみません。「対流と放射が平衡する」というのはピンときません。後でよく考えてみます。私は根拠なくCO2倍増時の気温上昇(気候感度)は測定不能と考えていますが、最近は0.01℃だとかの説もありまんざらでもない気分です。(笑)私もペーパー予報士として一般の方に対しては「晴れた冬の夜に放射冷却が起こらなくなるまで温暖化の心配はしなくていい。」と説明しています。水蒸気や雲の方がはるかに大きな役割を果たしていることはスーパーコンピューターなどなくともわかります。

>政権を取る民主党はCO2の25%削減を表明したかと思えば、公共交通機関無視の高速道路無料化を掲げています。政治的に矛盾だらけの問題ですね。
★国家としての方向性など党としてのきちんと理念がなく、選挙向けの公約ばかりが目だったと思います。私は少子化対策もどうなのかと思っています。人口を今の半分の6000万程度に軟着陸させれば食料自給率も上がりますし、なによりCO2の排出量も半分になりますが・・・・。(笑)

早速のお返事ありがとうございます

  • by ペーパー予報士
  • 2009/09/14(Mon)00:10
  • Edit
温暖化論の問題点はわかってきましたが、もう少し詰めて行きたいと思っています。「悪魔のささやき」の問題提起をこれからも楽しみにして期待しています。

>他の赤外不活性分子などとの衝突によって励起が起こりそれが赤外放射に結びつく「局所熱力学平衡」が本質のようです。
★今、理解ができていないので後で考えてみます。

>「対流と放射が平衡する」というのはピンときません。
★真鍋さんのグループが放射平衡を計算された結果に「放射対流平衡」という言葉があります(「一般気象学{第2版}」p.123など)。これを引用したものです。
これは、大気が 動かないと仮定して放射平衡の計算だけを行い、気温減率計算結果が{重力加速度/等圧比熱}以上になって対流の絶対不安定になった部分を観測される気温減率に置き換えただけのようです。

>一般の方に対しては「晴れた冬の夜に放射冷却が起こらなくなるまで温暖化の心配はしなくていい。」と説明しています。水蒸気や雲の方がはるかに大きな役割を果たしていることはスーパーコンピューターなどなくともわかります。
★maxの気温減率は{重力加速度/等圧比熱}で、大気に水蒸気があるので実際は6℃/1km位ですからね。放射冷却があって減率がこれ以下のときはまだ赤外活性ガス効果がmaxでないということですね。
曇っている夜間に冷え込まないこと、強いて言えばこれを「温室効果」と言うのでしょう。要するに放射冷却の緩和ですね。この効果は雲>水蒸気>>CO2と思いますが、どのケースにCO2がどれだけ効いているか定量的にはわかりりませんね。例えば冬に冷えて乾燥したシベリアでは低層が重くなり地上気圧が非常に高くなりますが、このようなときにCO2の放射冷却抑制効果が効くのかどうか(どんなに乾燥した砂漠でも水蒸気があり、水蒸気で効果は飽和してCO2の役割は無いという説もあります)。CO2が気温に影響するのは、あるとしてもこのようなときかなと思います。

Re:早速のお返事ありがとうございます

  • by はれほれ
  • 2009/09/19 19:32
こんにちは、はれほれです。

>「対流と放射が平衡する」というのはピンときません。
★真鍋さんのグループが放射平衡を計算された結果に「放射対流平衡」という言葉があります(「一般気象学{第2版}」p.123など)。これを引用したものです。
これは、大気が 動かないと仮定して放射平衡の計算だけを行い、気温減率計算結果が{重力加速度/等圧比熱}以上になって対流の絶対不安定になった部分を観測される気温減率に置き換えただけのようです。

■私も同じ書籍を持っています。(笑)この図はよく引用されており、重要な論文なのでしょうが、何せ昔の論文ですのでフルペーパーを読んだことがなくなぜこうなるのか?というところがわかりません。
「大気が 動かないと仮定して放射平衡の計算だけを行い」ここはコンピューターによる計算で納得ですが、「気温減率計算結果が{重力加速度/等圧比熱}以上になって対流の絶対不安定になった部分を観測される気温減率に置き換えた」この部分はちょっと合点がいきません。最終的に「観測値」を使うのならなんのための計算だったのかと思うのですが・・・・。ただ私にとっては『maxの気温減率は{重力加速度/等圧比熱}』というところからよく理解できていません。どうも数式はからきしダメです。(笑)もう一度「一般気象学」勉強し直さないといけないかも。

★この効果は雲>水蒸気>>CO2と思いますが、どのケースにCO2がどれだけ効いているか定量的にはわかりませんね。
■雲は黒体放射に近似できる連続スペクトルの放射をしますので、「大気の窓」の部分も含んでいると思いますので地表面の冷却の緩和に強く影響すると考えられます。もっとも絶対温度が同じと仮定してです。水蒸気はCO2と比べてスペクトルの幅が断然広く放射エネルギーは線スペクトルのCO2より圧倒的に大きいでしょう。局所熱力学平衡(LTE)ではCO2の分子数が増加すればするほど、また分子間の衝突回数が増加すればするほど(つまり赤外不活性分子が増加しても)理論的には放射エネルギーは増加するようです。(もしくはある一定のレベルに漸近線的に近づくのかもしれません。)ただそうすると水蒸気の分子数がCO2に比べてはるかに大きく、やはりCO2のでる幕はなさそうです。私も定量的には全くお手上げで、TheorySurgery氏がやさしく解説してくださらないかとひそかに期待をしているところです。(笑)

気温減率について

  • by ペーパー予報士
  • 2009/11/01(Sun)11:53
  • Edit
『maxの気温減率は{重力加速度/等圧比熱}』と書きましたが、これはボイルシャルルの法則と静水圧平衡の式からでてくる「一般気象学{第2版}」p.53の3.31式です。これは97%を占める赤外不活性気体を中心とした大気の断熱圧縮(または断熱膨張)による気温減率に相当しますね。見方を変えると、下層へは位置エネルギーの減少(上層へは位置エネルギーの増加)割合で、その分エンタルピーCpTが増加(または減少)すると言うことですね。対流によって空気塊は下層へは周りから仕事を受けて暖まり(上層へは周りに仕事をして冷える)、エアコンと同じ作用です。世間では(むしろ科学者の間で)「温室効果」とこの現象とが混同されているような気がしてコメントしました。

この気温減率だと約9.8℃/1km位ですが、実際の気温減率は6〜6.5℃/1kmですね。この差が水蒸気の相変化による潜熱の放出、受け取りによると言われています。
私が疑問に思っているのが、大気層の大半が氷点下の大気で、水蒸気から液体ではなくいきなり氷結したりするわけですね(過冷却水の状態もありますが)。このように大気層の大半で教科書のような水蒸気、水滴、氷結の相変化のように単純ではないのに観測結果は6〜6.5℃/1kmの減率になっていることです。この整合性は驚きです。前に書いたように、強い放射冷却による気温減率低下を赤外活性気体が抑制すると解釈していますが、数年前に日本の数箇所地点の地表から上空までの約半世紀にわたる時系列気温データ(上空は赤外線測定)を気象庁?で調べたところ気温減率の差は認められないで、大気圏大気全体が昇温していた(成層圏は気温低下、ただし対流圏と異なり直線的でなく周期的に上昇・下降していたようです)と聞いております。
これをCO2温暖化の根拠にする学者がおられるようですが、私は逆にCO2等赤外活性気体の性質(放射冷却を抑止する)が認められず、太陽、海洋、アルベド等他の強制要因の影響が大きいことを示すような気がします。
いずれにしても太陽からもらうエネルギーと宇宙に放出するエネルギーが等しい地球の「温暖化」議論はこの気温減率の議論がもっと必要と感じています。

Re:気温減率について

  • by はれほれ
  • 2009/11/05 12:18
こんにちは、はれほれです。いつもありがとうございます。
>『maxの気温減率は{重力加速度/等圧比熱}』と書きましたが、
>これはボイルシャルルの法則と静水圧平衡の式からでてくる
>「一般気象学{第2版}」p.53の3.31式です。
前回私が理解できなかったところですね。わざわざありがとうございました。確かにご指摘の式で断熱変化を想定して式を変形すればそうなります。私は数学が苦手なもので、つい式の意味を感覚的に考えてしまうクセがありまして、そうすると何がなんやらわけがわからなくなってしまうことが多々あります。(笑)

>下層へは位置エネルギーの減少(上層へは位置エネルギーの増加)割合で、
>その分エンタルピーCpTが増加(または減少)する
ここまでは、理解できます。ふたつの項の総和が一定であるということで「温位」の概念に通じるところですね。ただし次の温位の定義式はいまだに理解できていません。(笑)世間でこの現象と「温室効果」を混同しているような考えがあるというのは具体的にはどのような主張でしょうか?私には思い当たる節がありません。

>私が疑問に思っているのが、大気層の大半が氷点下の大気で、
>水蒸気から液体ではなくいきなり氷結したりするわけですね
>このように大気層の大半で教科書のような水蒸気、水滴、氷結
>の相変化のように単純ではないのに観測結果は6〜6.5℃/1kmの減率
>になっていることです。
そのようなことは考えたこともありませんでしたが、確かにおっしゃる通りと思います。で、少し調べてみました。
http://www.geocities.jp/shuji_maru/chikara/chikara.html
ここのグラフを見ると水の気化熱に比べて水の比熱および氷の比熱、融解熱はひとけた違うため6〜6.5℃/1kmの幅に含まれるのではないでしょうか。あくまで想像ですが、冬季のシベリアや南極の場合乾燥断熱減率に近いようなエマグラムの状態もあるのではないかと思います。いかがでしょうか。

>強い放射冷却による気温減率低下を赤外活性気体が抑制する
>と解釈していますが、
これは「地表面が冷却して上層大気との気温差が小さくなるのを防ぐ」とういう意味に理解しましたが、それでよろしいでしょうか?私の考えは少し違います。赤外活性ガスは地表面の冷却を抑えるのは事実ですが、そのガスが存在する層に対しては温暖化的に働くのか冷却的に働くのかは一概には言えないと考えています。
分子衝突によって大気放射が支配されているLTE(局所熱力学平衡)の状態では対流圏の中下層においては地表面からの赤外放射を吸収励起した赤外活性分子はほとんどが再放射をする暇もなく他の分子(ほとんどが赤外非活性分子ですが)との衝突によりエネルギーを奪われてしまいます。(無放射緩和過程)ここが、温暖化論者の主張と大きく異なるところです。また赤外線を吸収するのとは別に他分子との衝突によっても赤外活性分子が励起状態になることがあり、これによる励起効果の方が分子密度の大きい(気圧が高い)大気中下層では卓越しているようです。これが「大気の放射」として観測されているものです。決して「再放射」ではありません。ところが、上層にいって分子密度が小さくなると衝突の頻度が低くなり励起した赤外活性分子が他の分子に衝突でエネルギーを受け渡すことなくそのまま再放射をしてしまうようになります。(LTEが成立しなくなる)この状態では赤外活性ガスが冷却作用として働きます。したがって成層圏が気温低下というのもそういう意味ではありえないことではないと考えます。ただし、私の数学力では衝突と放射吸収による励起の寄与比率について定量化ができませんのでどのくらいの気圧から冷却効果になるのかということはわかりません。よく「赤外活性ガスが増加すると熱が上層にあがってこないから上層が冷却する」という説明をみかけますが、それは間違いです。以上素人なりの現時点での解釈です。(笑)
気象庁の調査に関しては私は存じませんが、CO2が増加して温暖化すれば気温減率が変化するのかどうか私にはなんともわかりません。このへんの考えに関してはペーパー予報士さんとは違う意見です。

温室効果と気温減率

  • by ペーパー予報士
  • 2009/11/07(Sat)01:08
  • Edit
>世間でこの現象と「温室効果」を混同しているような考えがあるというのは具体的にはどのような主張でしょうか?私には思い当たる節がありません。

また「一般気象学」(第2版)を引用させていただきますと、P114の(5.13)式から求められるTe=255Kは実際に観測されている地球表面の平均温度288Kよりかなり低い。それは(灰色大気モデルによる温室効果)で述べるように地球大気の温室効果を考えに入れてないからである。
と述べられています。この33℃の差は丁度大気の平均気圧約500hPaの高度で、ほぼ地表を含めた大気の平均温度でもある約5500mの気温との差に相当しています。
「混同」というのは適切ではないかもしれませんが、上記説明は対流による断熱圧縮効果と「温室効果」との整合性がとれていないと思います。小学生に高い山の上は太陽に近くなるのになぜ寒くなるか聞かれたら、「CO2]温暖化論者でも断熱膨張云々と答えざるを得ないのではないでしょうか?

リンクの説明ありがとうございます。私もはっきりとはわかりませんが、氷点下の大気中では気体と氷(固体)との相変化(昇華)で潜熱の出し入れがあるのでしょうか。昇華の潜熱2.83MJ/kgと蒸発の潜熱2.5×10MJ/kg(0℃)は大差がありませんので。

真鍋先生たちのグループが灰色大気モデルで、熱力学第二法則に反して仕事なしに上空低温大気で下層高温大気をさらに暖め、大気が動かないモデルで17℃/kmの気温減率の「温室効果」の計算結果を出されました。この状態では大気が絶対不安定になるので、実際の大気の減率6.5℃/1kmに合わせて、熱力学第二法則に反して下層を暖めた分はこの減率で「放射平衡高さ」をかさ上げして地表温度が上がるとの見解を出されました(この辺は明日香先生たちがまとめた「地球温暖化懐疑論へのコメント」にも掲載されています)。
私は真鍋先生のこの放射平衡理論には問題があると思いますが(熱力学第二法則でお手つきをされたようです)、地表が上層より高温であることはより大きな放射強度で放射冷却するため、対流で生じた温度差を解消する方向になり地表がより冷えて33℃の差が維持できません。赤外活性気体(主に水蒸気や雲)を通して赤外線が上空から注ぎこの放射冷却を抑止して33℃の状態を維持するのを「温室効果」と呼ぶのなら「一般気象学」の説明が生きてくるのではないかと思います。97%を占める赤外不活性気体が20%でも増えれば、気圧が上がり断熱圧縮効果が増して数℃昇温する可能性があると思います。90気圧の金星の状態に少し近づく訳ですから。

Re:温室効果と気温減率

  • by はれほれ
  • 2009/11/13 19:22
こんにちは、はれほれです。

>P114の(5.13)式から求められるTe=255Kは実際に観測されている
>地球表面の平均温度288Kよりかなり低い。それは(灰色大気モデルに
>よる温室効果)で述べるように地球大気の温室効果を考えに入れてない
>この33℃の差は丁度大気の平均気圧約500hPaの高度で、ほぼ地表を
>含めた大気の平均温度でもある約5500mの気温との差に相当しています。
●例の33℃ですね。私もこの差が温室効果によるという考えには賛成できません。ペーパー予報士さんは地球の放射平衡点を大気の中層=500hPaと考えておられるのでしょうか?それとも実際にTe=255Kの大気層を平衡点と考えられたのでしょうか?

>「小学生に高い山の上は太陽に近くなるのになぜ寒くなるか聞かれたら、
>「CO2]温暖化論者でも断熱膨張云々と答えざるを得ないのではないでしょうか?
●確かにそうですね。私もそのように答えます。

>氷点下の大気中では気体と氷(固体)との相変化(昇華)で潜熱の出し入れ
>があるのでしょうか。昇華の潜熱2.83MJ/kgと蒸発の潜熱2.5×10MJ/kg(0℃)
>は大差がありませんので。
●あると思います。私のつたない知識では100℃1gの水蒸気が持っているエネルギーはどんな経路をとったものでもすべて同じ。氷から昇華した場合(水の潜熱)+(融解熱)に該当する(氷の比熱)と(水の比熱)を加算したものになると思います。(水の潜熱)が圧倒的に大きいので氷の昇華熱と水の気化熱はあまり大きな違いがないのだと思います。

私自身は明日香先生の「地球温暖化懐疑論へのコメント」は読んだことがありません。あまりにもファイルが大きすぎて私の環境ではダウンロードに時間がかかりすぎます。(笑)本当は読んでもあまり大したことないだろうと思っているだけですが。(笑)

>地表が上層より高温であることはより大きな放射強度で放射冷却するため、
>対流で生じた温度差を解消する方向になり地表がより冷えて33℃の差が
>維持できません。赤外活性気体(主に水蒸気や雲)を通して赤外線が
>上空から注ぎこの放射冷却を抑止して33℃の状態を維持するのを「温室効果」と呼ぶ
●この部分が「気温減率の維持」とおっしゃられたところですね。私の立場の場合は「地表の気温低下を抑止する」ということになります。温暖化論者はどうも「断熱圧縮」による昇温を無視しているように思えますがいかがでしょうか。金星についても90気圧もあるのに「温室効果で気温が高い」と主張しています。

>97%を占める赤外不活性気体が20%でも増えれば、気圧が上がり断熱圧縮
>効果が増して数℃昇温する可能性があると思います。90気圧の金星の状態
>に少し近づく
●これは私も同じ考えです。今の地球でも炭坑などで地中深くに穴を掘っていくと気圧の上昇とともに温度が上昇すると考えています。ただ現実的な問題として地熱の影響や風がないことから同じ気温減率(増率?)を証明することはできませんが。ペーパー予報士さんと温暖化論者の主張の違いは放射平衡点を大気中層においたこと、放射平衡点と地表の温度の差を温室効果ではなくて断熱圧縮による昇温によるものとしたこと。この2点と考えてよろしいでしょうか?

最後に直接関係はないのですが、前回の3.31式から考えるに重力場というのは位置エネルギーが存在するから重力場であり、それゆえ流体の対流が起こるとも言えます。もしも宇宙空間でカンに入れたお湯をわかしたらどうなるのでしょうか?下から(一方向だけから)熱を加えると・・・・。対流が起こらないので伝導だけで熱が伝わっていくのでしょうか?一番下が一番温度が高い?効率は悪そうですね。

一連のコメントが長くなりましたが

  • by ペーパー予報士
  • 2009/11/15(Sun)14:08
  • Edit
はれほれ様、いつもご回答ありがとうございます。

>地球の放射平衡点を大気の中層=500hPaと考えておられるのでしょうか?それとも実際にTe=255Kの大気層を平衡点と考えられたのでしょうか?

私自身は地球の放射平衡点は、「大気の窓」や大気の上下各層の正味地球外への赤外放射の放射層高さとその放射強さから計算される「重心」が大気の中層=500hPaではないかと思っています。またその点が地球の黒体放射平衡温度Te=255Kになるのではと思っていますが、正直なところ実際そうなのかわからないので、真偽を是非知りたいと思っています。この辺りの議論が「温暖化」の科学で検証するべき最重要課題の一つと思っています。

>(水の潜熱)が圧倒的に大きいので氷の昇華熱と水の気化熱はあまり大きな違いがないのだと思います。

水が液体や氷の状態でも同レベルの潜熱の出し入れがあるので30℃位から氷点下50℃以下の大気まで、蒸発の潜熱2.5×10MJ/kgで概略計算できるのですね。

>温暖化論者の主張の違いは放射平衡点を大気中層においたこと、放射平衡点と地表の温度の差を温室効果ではなくて断熱圧縮による昇温によるものとしたこと。この2点と考えてよろしいでしょうか?

上記のように正にその通りです。
現在、理科系高学歴の首相によってCO25%削減が政治課題になっています。これだけの課題に、マスコミや政府は最初に「温暖化」ありきで、何故、温暖化や温室効果理論の説明を皆(国民)にしないのでしょうか?科学として間違いがわかることを恐れているような気がします。
宇宙空間でカンに入れたお湯のお話、熱移動に重力が大きな役割をしていることの例えとして良いですね。一般の国民に温暖化の説明に、重力、そして対流の役割の重要性や比喩として身近なポットやクーラーバックで説明することもあっても良いと思います。地球のエネルギーの入出力が同じことを前提にするなら、断熱されたクーラーバックにその初期温度より暖かく上から下へと順に高温の物を入れると仮定します。温暖化の根拠となる放射平衡理論によると、赤外線放射量の多い下方ほど暖まりさらに上下の温度差が大きくなり、クーラーバック全体がさらに暖まります。これは経験的に間違いであることに誰でも気づきます。経験によれば、クーラーバック初期温度と中に入れた物との間の温度(入れた物の熱容量によって変化しますが)になることがわかります。
こんな例は如何でしょうか?

Re:一連のコメントが長くなりましたが

  • by はれほれ
  • 2009/11/19 12:25
こんにちは、はれほれです。いつもありがとうございます。

>私自身は地球の放射平衡点は、「大気の窓」や大気の上下各層の
>正味地球外への赤外放射の放射層高さとその放射強さから
>計算される「重心」が大気の中層=500hPaではないかと思っています。
>またその点が地球の黒体放射平衡温度Te=255Kになるのでは
●おっしゃることは理解いたしました。廣田勇先生の「グローバル気象学」という書籍には「地球の黒体放射平衡温度は大気の中層である。」という意味のことが書かれているそうです。どこかで読んだことがあるので、探してみたのですが見つかりませんでした。私自身はこの本は持っておりませんので確認はできていません。ところでペーパー予報士さんは近藤邦明氏の「大気温度はどのように決まるか」という論文を読まれたことがございますでしょうか?
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/report/kondoh05.htm
数年前に発表されたものですが、数学のできない私(笑)には難しすぎてよくわからないというのが本当のところです。当初は理論的な大気温度の構造を議論するのに5900m・-23℃の実測値からスタートしているところがよくわからないなりに違和感がありました。(これはもしかしたら眞鍋論文にも共通かもしれません)今回もう一度読み直してみて半分程度は理解できるようになりました。5900m・-23℃という実測値を持ち出す前提を「大気を持つ惑星の放射平衡点は大気の中層(真ん中)である。」として500hPa(5500m)・-18℃を持ち出せれば個人的にはすっきりします。そうするとペーパー予報士さんがおっしゃるように本当に「」が成り立つかどうかが大きな問題になります。他の地球型惑星のデータがあれば検証してみたいところです。今週はこちらの予報士会に参加する予定で、時間がとれるようになったらやってみます。(いいかげんな人間ですので当てにはしないでください。)

>現在、理科系高学歴の首相によってCO25%削減が政治課題になっています。
>これだけの課題に、マスコミや政府は最初に「温暖化」ありきで、
●本当に困ってしまいます。税金の無駄遣いに国益の損失も計り知れないものがあります。環境団体などが政治的な発言力を持っているとういか、政治家の方も「環境問題に関心がある」ということをアピールした方が選挙人受けがいいと思い込んでいるようです。もしも「地球温暖化問題などより優先すべきことは山ほどある」などといって選挙に出たらよってたかって袋叩きでしょう。(笑)

>何故、温暖化や温室効果理論の説明を皆(国民)にしないのでしょうか?
>科学として間違いがわかることを恐れているような気がします。
●この問題が解決したおりには政治家はIPCCに責任を押し付けて逃げるでしょう。おそらく今この問題を利用して利権をむさぼっている一部の科学者も同様です。個人的には丸山先生や赤祖父先生に期待をしているのですが、間違った洗脳を解くのにはものすごいエネルギーが必要なようです。今は温暖化反対論があちこちで見られるようになっただけでも、すぐに環境団体から「人でなし」呼ばわりされていた一昔前よりはずいぶんよくなったと思って自己満足するしかありません。(笑)
クーラーボックスの例は熱力学第2法則ですね。ただ、温暖化論者には第2法則は理解できないようです。(笑)一般の人たちに理解しやすいたとえ話となると案外難しいものですね。

予報士会の会合は如何でしたか

  • by ペーパー予報士
  • 2009/11/29(Sun)13:28
  • Edit
はれほれ様 いつも丁寧なご返事と書物や情報の提供ありがとうございます。

>廣田勇先生の「グローバル気象学」という書籍には「地球の黒体放射平衡温度は大気の中層である。」という意味のことが書かれているそうです。
●初版本ですが、古本で入手しました。
ざっとみたところ、「惑星としての地球大気の温度は約250Kである」という記述以外は具体的な解説は見かけておりません。ただ、「大気」としていることが重要なポイントかもしれません。対流圏ではこの温度を中心に下降する空気は断熱圧縮で温度が上がり、上昇する空気は断熱膨張で温度が下がり、上昇と下降の効果が相殺される対流圏の中央高さが元々の「大気温度」ということではないでしょうか。「温室効果」については2ページ説明がありますが、いわゆる「灰色大気モデル」に準拠したもので、断熱減率との整合性の説明はなく熱力学第二法則に反する説明になっています。

>近藤邦明氏の「大気温度はどのように決まるか」という論文を読まれたことがございますでしょうか?
●この論文は私がいわゆる「温室効果理論」に疑問を持つきっかけとなった論文です。内容全ては理解できていませんが、個人的には大筋納得のいく説明がなされていると思います。また、赤祖父先生の「正しく知る地球温暖化」は発刊と同時に購入して読みました。気候変動を「人為だけ」で成し遂げるかのような温暖化騒動は人間は何様?エコを口にして自然を見下す態度は何だろうと傲慢さを感じていたところに自然を主体とした気候変動データの読み方に感動を受けました。
●ところでハッカー?によってIPCCの「温暖化学者」の情報が漏れ、「懐疑論」封じ込めのデータ操作があったと言う噂が予報士会MLで話題になっています。ハッカーと言い、データ操作と言い、科学でない部分で議論が盛り上がるのは個人的には不愉快な気持ちです。
●「温室効果理論」でもっと科学的に説明していただきたい点はこれまで述べたことのまとめですが、
(1)断熱減率と「温室効果」の整合性。これは真鍋論文でも大気が動かないとして計算した結果を観測結果の断熱減率に加味しているようですが、両者の因果関係を含めたモデルや説明が欲しい。
(2)熱力学の法則(特に第二法則)との整合性。
ですね。
細かくは、TheorySurgery氏のブログに説明されている内容や、赤外線放射、吸収の確率などの議論ももっと知りたいところです。多分、大気間で様々な確率で熱伝導や赤外線放射・吸収、それに応じ対流、風など空気の流れによる仕事が生じ(ここが気象を複雑にしているところだと思います)、平衡まで時間がかかりますが、トータルで太陽からもらう熱エネルギー量と等しい熱エネルギー量が宇宙に放出されるのでしょう。
私が「間違っている」と指摘されるにしてもきちんとした説明が欲しいです。

Re:予報士会の会合は如何でしたか

  • by はれほれ
  • 2009/12/04 12:28
こんにちは、はれほれです。今回の気象予報士会は試験に合格されたばかりの方が7名参加されていました。10年選手の私はほとんどすべて忘れていますので、とても彼らにはかないません。「気象予報士」と名乗ることさえおこがましいです。(笑)まあ、ほとんどの皆さんが懇親会目当てですので(笑)、私も家人公認で酒を飲みに行ける唯一の機会ですので楽しくないわけはありません。(笑)

>●初版本ですが、古本で入手しました。
>ざっとみたところ、「惑星としての地球大気の温度は約250Kである」
>という記述以外は具体的な解説は見かけておりません。
>ただ、「大気」としていることが重要なポイントかもしれません。
●すみません。「グローバル気象学」、うろおぼえで無駄な出費をさせてしまいました。申し訳ありません。
でも確かに「大気」という表現はそういう意味にもとれますね。温暖化論者の皆さんはすべて「地表面」と考えておられるようですので。

近藤さんの論文はご存知でしたか。ところで昨年の10月くらいに予報士会のメーリングリストで「大気の質量効果」という質問が会員の方からされてしばらく話題になっていましたね。私は何の意味かわからず読み飛ばしていたのですが、今読んでみると断熱圧縮に関する疑問のようです。会員の皆さんの反応を見ると「温室効果」そのものに疑問を持っておられる方が多く、びっくりしました。(笑)一番印象に残った方の発言を匿名で引用させていただきます。

「非現実的な条件ですが、①地球が黒体で、しかも熱伝導が完全で、どこも等温度になる物体で、空気などの気体がないとしたときに、地表面の温度は放射平衡温度(-18℃)になる②これに赤外線を吸収しない(ほぼ)酸素と窒素の大気をつけても、地表面の温度は放射平衡温度(-18℃)のままだが、鉛直方向の温度分布は1℃/100mくらいある。③次に、大気に水蒸気等の温室効果気体を少しずつ加えていくと、放射平衡温度の赤外線を放射する高度が徐々に高くなって、気温の鉛直分布によって地上気温があがる。と言うことで、放射平衡温度と地上気温の差は、気温の鉛直分布と温室効果気体の量の双方が関係している」

「う~ん、なるほど」と思う反面、ちょっと待てよと思うところがないこともありません。このたとえに関してはどう思われますでしょうか?

>赤祖父先生の「正しく知る地球温暖化」は発刊と同時に購入して読みました。
>気候変動を「人為だけ」で成し遂げるかのような温暖化騒動は人間は何様?
>エコを口にして自然を見下す態度は何だろうと傲慢さを感じていたところに
>自然を主体とした気候変動データの読み方に感動を受けました。
●私も赤祖父先生の主張には共感できるところが大いにあります。先生は6分の5が自然と言っておられますが、私は「少なくとも」6分の5だと考えています。(笑)

>●ところでハッカー?によってIPCCの「温暖化学者」の情報が漏れ、
>「懐疑論」封じ込めのデータ操作があったと言う噂が予報士会MLで
>話題になっています。ハッカーと言い、データ操作と言い、科学でない部分で
>議論が盛り上がるのは個人的には不愉快な気持ちです。
●私自身はそれほどでもありません。(笑)予報士会のメーリングリストを自分の所属する団体(もちろん温暖化あおり団体です)の宣伝に使用されている方もおられますので 私としてはそんな使い方よりましではないかと思っています。これ以上、税金の無駄使いは国にとっては大損失です。早くここから脱却しないといけないと思っていますがなかなか世論も政治も動きません。しかし、それにしてもこの「climate gate」事件、日本の既存メディアではほとんど報道されませんね。やっぱり何かあるのでしょうか?2チャンネルというところに「メディアの腐ってない国はメディアのない国だけだ。」という発言がありましたが、思わず「ざぶとん10枚!」と叫んでしまいました。(笑)

>●「温室効果理論」でもっと科学的に説明していただきたい点はこれまで述べた
>ことのまとめですが、
>(1)断熱減率と「温室効果」の整合性。
●これは上の例で説明ができるかもしれません。

>(2)熱力学の法則(特に第二法則)との整合性。
●これは難しいですね。

>私が「間違っている」と指摘されるにしてもきちんとした説明が欲しいです。
●私も温暖化論者やIPCCが正しいのなら、私を納得させるだけの説明をしてほしいです。今の彼らの主張は間違っています。(再放射、上層から下層の熱移動など)

予報士会のメーリングリスト

  • by ペーパー予報士
  • 2009/12/13(Sun)10:40
  • Edit
もう一人の「ペーパー予報士」の質問かもしれませんね(笑い)。

>このたとえに関してはどう思われますでしょうか?

このたとえは、明日香先生達がまとめている「地球温暖化懐疑論反論」の中にもあるようですが、「気温減率計算結果が{重力加速度/等圧比熱}以上になって対流の絶対不安定になった部分を観測される気温減率に置き換えた」部分ですね。

> ①地球が黒体で、しかも熱伝導が完全で、どこも等温度になる物体で、空気などの気体がないとしたときに、地表面の温度は放射平衡温度(-18℃)になる

その通りだと思います。

> ②これに赤外線を吸収しない(ほぼ)酸素と窒素の大気をつけても、地表面の温度は放射平衡温度(-18℃)のままだが、鉛直方向の温度分布は1℃/100mくらいある。

この場合は、もし重力がなく(その場合大気が遠心力で宇宙に逃げてしまうのであくまで仮定ですが)、そして大気が動かなければ熱伝導で大気全体が-18℃の一定の温度になっていくと思います(熱力学第二法則:エントロピー増大の法則)。そこで、重力が発生して大気が動けば(対流が起きれば)、1℃/100mの減率となると思いますが、断熱的に対流が起きても対流圏大気層全体のエネルギーの増減は無く(気象予報士バイブルと言われている小倉先生「一般気象学第2版」のp.53の(3.32)式で、気象学の基本!)、当該層中央高さ(約5500m)では-18℃のままで、そこを中心に下層は1℃/100mの減率で断熱圧縮で暖まり、上層は断熱膨張で冷えて成層圏に達すると思います、成層圏より上では対流が無く、気温が上がっていってまた平均すると-18℃の温度になっていく(廣田先生の「グローバル気象学」)と思います。だから地表面が放射平衡温度(-18℃)のままというところが理解できません。次の③について述べることと関係しますが、このように赤外不活性気体に対しては上層が冷えるだけで地表温度は上がらないとすることで赤外活性気体による「温室効果」を上乗せしてもダブルカウントの値にならず、なるほどと思う説明になったような気がします。

> ③次に、大気に水蒸気等の温室効果気体を少しずつ加えていくと、放射平衡温度の赤外線を放射する高度が徐々に高くなって、気温の鉛直分布によって地上気温があがる。

結局、②の-18℃の地上からの乾燥断熱減率を水蒸気が入ることを前提に湿潤断熱減率に置き換え、大気が動かないと仮定し、かつ熱力学第二法則に反して(要するに実際の自然現象には無い状態で)地上を暖めるとして計算した温度上昇分「温室効果」を地表温度を-18℃とした「観測される気温減率」(実際の観測される気温減率の地表温度は15℃)に平行して上乗せするのだと思います。だから「観測される気温減率」を使うのは「断熱圧縮による温度上昇」と「温室効果」のすり替えのように思えます。
こうした理論をもとにIPCCが今後の気温上昇予測として報告しているのだと思います。
私の問題にしている温室効果と気温減率の整合性は「観測結果」の6.5℃/kmの気温減率(いわゆる33℃の部分)と温室効果との整合性、すなわち熱力学第二法則を無視したり、両者を別々に評価するのでなく(大気が動かない状態はない)、温室効果と対流とが共存する時の因果関係で、これについては答えられているとは思えません(私が勘違いしてなければですが)。

>私も温暖化論者やIPCCが正しいのなら、私を納得させるだけの説明をしてほしいです。今の彼らの主張は間違っています。(再放射、上層から下層の熱移動など)

私も一般の人に「間違え」を主張すると、気象学会などの学会で主張すれば良いのではないかと言われます。
はれほれさんは、昨年5月に開催された日本地球惑星科学連合大会のセッション「地球温暖化問題の真相」に参加され当サイトにご報告いただいておりますが、こういった場での主張や気象学会を始めとした関連学会での反応はどうなのでしょうか?私は気象予報士の登録はしていても気象関連学会に参加したことはありません。今話題の「climate gate」事件とも関連して、政治的なものはさておき、この科学的「間違え」に対する気象関連学会などの反応は如何でしょうか?

Re:予報士会のメーリングリスト

  • by はれほれ
  • 2009/12/24 13:26
こんにちは、はれほれです。いつもありがとうございます。A型インフルエンザ、おそらく新型で思いがけず休暇が舞い込んできました。(笑)

>もう一人の「ペーパー予報士」の質問かもしれませんね(笑い)
■まあ、あまり深く追求しないということで。(笑)

>①地球が黒体で、しかも熱伝導が完全で、どこも等温度になる物体で、空気などの気体がないとしたときに、地表面の温度は放射平衡温度(-18℃)になる
■これはいちおう問題ないですね。

>②これに赤外線を吸収しない(ほぼ)酸素と窒素の大気をつけても、地表面の温度は放射平衡温度(-18℃)のままだが、鉛直方向の温度分布は1℃/100mくらいある。
■ここは問題ですね。まず付け加える大気温の初期値は考慮しなくてもいいような気がしますが、いかがでしょうか?さらに次のペーパー予報士さんの
「当該層中央高さ(約5500m)では-18℃のままで、そこを中心に下層は1℃/100mの減率で断熱圧縮で暖まり、上層は断熱膨張で冷えて成層圏に達する」
「地表面が放射平衡温度(-18℃)のままというところが理解できません」
ペーパー予報士さんのこの部分とは相入れない考えです。
私が思うにこの例えをされた方は「昼も夜もない。自転のない状態」を念頭に置いているようです。したがって熱伝導で地表面と大気最下層が-18℃の等温になると熱の移動が起こらなくなり、上層は断熱膨張によってそれより気温は低い、と考えているようです。これに対してペーパー予報士さんは大気全体が-18℃の内部エネルギーを持つと考えて「断熱的に対流が起きても対流圏大気層全体のエネルギーの増減は無く」より対流圏中央の気温が-18℃とされています。
私は次のように考えています。まず昼間は-18℃より高温に地表面が温められて、接地している大気最下層も熱伝導で暖められて対流が起きる。この時地表面が何度まで上昇するかは太陽定数から計算できる。(たぶん)夜は地表面が放射冷却によって-18℃以下になり接地逆転層が形成される。この時大気や地表面がどこまで低温になるかは大気の熱伝導の速度によって決まる。これで「平均-18℃」というのはどうなのでしょうか?昼と夜だけでこれだけ複雑なのにこれに高緯度と低緯度の概念を入れるともっと複雑になります。結局球体で、自転している物体に「平均黒体温度」をおしつけるのは無理があるような気がします。
http://arxiv.org/abs/0707.1161
ここのGerlich & Tscheuschnerの論文のabstractに(b) there are no calculations to determine an average surface temperature of a planetとありますが、まさにこういうことだったのかと改めて納得しています。
したがってペーパー予報士さんの言われるような大気中層が-18℃になるかどうかはわかりませんが、私はこの方の考えには賛成できません。

> ③次に、大気に水蒸気等の温室効果気体を少しずつ加えていくと、放射平衡温度の赤外線を放射する高度が徐々に高くなって、気温の鉛直分布によって地上気温があがる。
■結局②が間違っていれば③は意味がないですね。ただペーパー予報士さんの
「大気が動かないと仮定し、かつ熱力学第二法則に反して(要するに実際の自然現象には無い状態で)地上を暖めるとして計算した付加温度上昇分(観測される気温減率の温度に対する)を、観測される気温減率に平行させて上乗せしている」
「「観測される気温減率」を使うというのが「断熱圧縮による温度上昇」と「温室効果」のすり替え」
この部分は今のところよく理解できていません。なんとなくはわかる気はするのですが・・・。ところで太陽系の他の惑星に関しての考察では「g」の値が違うことに気づいて挫折しています。(笑)それでひとつ教えていただきたいのですが、地球の大気の組成が同じで気圧が0.5気圧になったり2気圧になったりするとどこが変化するのでしょうか?g/Cpは定数ですのでここは変化しないような、そうすると実際の気温減率が変わるのでしょうか?それとも気温減率そのままで大気がかなり上空まで(2気圧のとき)存在するということでしょうか?

>昨年5月に開催された日本地球惑星科学連合大会のセッション「地球温暖化問題の真相」に参加され当サイトにご報告いただいておりますが、こういった場での主張や気象学会を始めとした関連学会での反応はどうなのでしょうか?
>この科学的「間違え」に対する気象関連学会などの反応は如何でしょうか?
■私も昨年の「地惑連合」(こう略すようです)のほかは日本気象学会の地方会に参加したことがあるくらいです。ただ二酸化炭素温暖化説に真っ向から立ち向かうセッションは2008年が最初だと思います。これは丸山先生の功績です。今年は同様なテーマがなく、参加を見送りました。「温室効果」を見直すような発表は皆無と言っていいと思います。

インフルにはお気を付けください

  • by ペーパー予報士
  • 2009/12/28(Mon)00:29
  • Edit
>A型インフルエンザ、おそらく新型で思いがけず休暇が舞い込んできました。(笑)

はれほれさんは大丈夫でしたか?身体にはお気をつけください。

>ここは問題ですね。まず付け加える大気温の初期値は考慮しなくてもいいような気がしますが、いかがでしょうか?

確かに、「酸素と窒素の大気をつけたとき」の酸素と窒素の大気の温度は言及されていないですね。従って、最初に地表と接している大気部分が一応-18℃になると言いたいわけですね。ただし、いずれは熱伝導で地表の熱が大気全体に伝わって一応大気全体の平均温度が-18℃に(下層は断熱圧縮で-18℃より高温に)なっていくと思います。②では赤外不活性気体だとして放射だけでなく下層から中層、高層への熱伝導も無視しているような気がします(赤外不活性気体でも気体間で熱伝導はあります)。
しかしこのままでは問題があります。というのは、太陽から地表がもらうエネルギーは一応-18℃分なのに、断熱圧縮によって地表が昇温して、一応15℃になると地表からの放射量が増えてこの15℃を維持できなくなり結局冷えて-18℃に近づいて行くと思われます。だから②では地表の温度を-18℃としたのかもしれませんが、そのときは「観測される気温減率」でなく、気温減率が無くなることだと思います。最期にコメントしたことに関連してきますが、水蒸気を中心とした赤外活性気体はこの気温減率維持に効果があるのではないかと思っています。

>これで「平均-18℃」というのはどうなのでしょうか?昼と夜だけでこれだけ複雑なのにこれに高緯度と低緯度の概念を入れるともっと複雑になります。結局球体で、自転している物体に「平均黒体温度」をおしつけるのは無理があるような気がします。

地球が球体で昼夜があるために平均の概念がわかりにくいですね(「グローバル気象学」に平均の概念の説明がありますが)。「平均-18℃」というのは、まずある地点の昼夜や季節を通した、例えば1時間ごとの気温値の1年間の平均(時間平均)を求め、世界をメッシュに切った、あるいは世界数千の代表地点の時間平均の平均(地点平均)を言うのでしょうか?
放射量は絶対温度の4乗に比例しますので一層複雑で、Gerlich & Tscheuschnerの論文では「平均温度」の放射平衡では地表温度を決められないと言っているように思いますが。

>「観測される気温減率」を使うというのが「断熱圧縮による温度上昇」と「温室効果」のすり替え」
この部分は今のところよく理解できていません。

何度か推敲しましたが、表現がうまくありませんでした。
要するにを対流の効果(断熱膨張・圧縮による気温減率)を入れた上で「温室効果」を入れようとしたと言いたかったのですが。
私が思うに、-18℃が15℃になる33℃の分は従来の水蒸気とCO2の濃度による「温室効果」として、地表15℃の「実際に観測される気温減率」を仮定し、灰色大気モデルでCO2がさらに増えると17℃/1kmの減率になるとしているのでしょうか(これは熱力学第二法則に反して計算された値と思いますが)。しかし、乾燥断熱減率(約10℃/1km)以上の減率は絶対不安定になって実際にあり得ないことを認め、乾燥断熱減率以上の減率部分(17℃/1km〜10℃/1km)の「温室効果」による温度上昇分は「実際に観測される気温減率」で放射平衡高さ(赤外線を放射する高度)が高くなるとして地表では15℃以上になっていくとしたのでしょう。

>ところで太陽系の他の惑星に関しての考察では「g」の値が違うことに気づいて挫折しています。(笑)それでひとつ教えていただきたいのですが、地球の大気の組成が同じで気圧が0.5気圧になったり2気圧になったりするとどこが変化するのでしょうか?g/Cpは定数ですのでここは変化しないような、そうすると実際の気温減率が変わるのでしょうか?それとも気温減率そのままで大気がかなり上空まで(2気圧のとき)存在するということでしょうか?

はれほれさんに教えるなどと言うおこがましいことはとてもできませんが、「一般気象学(第2版)」p.44の(3.12)式dp=-gρdzから直感的にわかるように大気層がが厚くなると気圧が高く、薄くなると気圧が低くなると思います。だから地球大気の97%の窒素、酸素、アルゴンなどの赤外不活性気体が約半分になれば約0.5気圧に2倍になれば約2気圧になって行くと思います。ただ前記式のρは温度、圧力の関数、そして高さzの関数であるので単純に正比例はしないと思います。
dT/dzはうまくg/Cpの定数になるので、対流が起きる大気層厚が倍増すれば温度変化も倍増すると思います。
前に紹介された近藤先生の金星に対する計算が私にはわかりやすいです。金星はCO2が多いために「その再放射」で高温になるのではなく、大気層が厚く90気圧になっているためだそうです。だから地球でも0.04%のCO2の倍増よりも97%の赤外不活性気体の倍増の方が大きく温度上昇に寄与すると思います。

>ただ二酸化炭素温暖化説に真っ向から立ち向かうセッションは2008年が最初だと思います。これは丸山先生の功績です。今年は同様なテーマがなく、参加を見送りました。「温室効果」を見直すような発表は皆無と言っていいと思います。

「温室効果」の科学的な議論が気象学会でないのは不思議ですね。再評価のためには学会での再議論が必要と思います。「クライメイトゲート」のような醜聞としての扱いでなく、真実を知りたいところです。

前に述べましたように、赤外活性気体による「温室効果」は「実際に観測される気温減率」に平行に放射平衡高度が高くなることでなく、気温減率自体が変わる(最大は乾燥断熱減率、最小は減率がなくなる)ことと思っています。それについてはまたの機会に議論したいと思います。

Re:インフルにはお気を付けください

  • by はれほれ
  • 2010/01/01 08:06
あけましておめでとうございます。

> インフルにはお気を付けください
★ありがとうございます。ワクチンを接種していたおかげで比較的軽くて済んだようです。

>「酸素と窒素の大気をつけたとき」の酸素と窒素の大気の温度は言及されていないですね。従って、最初に地表と接している大気部分が一応-18℃になると言いたいわけですね。ただし、いずれは熱伝導で地表の熱が大気全体に伝わって一応大気全体の平均温度が-18℃に(下層は断熱圧縮で-18℃より高温に)なっていくと思います。
★「大気全体の平均温度が-18℃」になるかどうかは昼間の最高気温と夜間の最低気温および接地逆転層の高さによると思います。ただ「下層は-18℃より高温」になることは同意します。

>②では赤外不活性気体だとして放射だけでなく下層から中層、高層への熱伝導も無視しているような気がします
★たぶん例を出した方は「昼夜の存在」を考慮しておられないのではないでしょうか?だから地表面が最高=最低=-18℃ということで最下層は-18℃で熱伝導がストップするということではないでしょうか。

>だから②では地表の温度を-18℃としたのかもしれませんが、そのときは「観測される気温減率」でなく、気温減率が無くなることだと思います。
★私は「接地逆転層が形成される」としたのですが、ペーパー予報士さんはそれ以後も熱伝導によって上層から下層へ熱が移動していき最終的には伝導が起こらなくなる状態、つまり上から下まで一様に-18℃になると考えておられるわけですね。

>最期にコメントしたことに関連してきますが、水蒸気を中心とした赤外活性気体はこの気温減率維持に効果があるのではないかと思っています。
★赤外活性の存在が上記のようになることを防いでいる。具体的には下層の過度の冷却を抑制している、という意味ですね。おっしゃることは理解できたつもりですが、まだ自分の考えを持つまでには至っていません。

>「平均-18℃」というのは、まずある地点の昼夜や季節を通した、例えば1時間ごとの気温値の1年間の平均(時間平均)を求め、世界をメッシュに切った、あるいは世界数千の代表地点の時間平均の平均(地点平均)を言うのでしょうか?
★「平均気温」はある地点では存在しても異なる地点を含む場合は平年値からの偏差しかないように思います。IPCCに関してはどうしているのかは知りませんが、気象庁では緯度経度5°x5°に区切った地域でそういうことをしているようです。ただし平均ではなくて平年値からの偏差を求めて平均しているようです。最後に面積による比重をつけているらしいです。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/clc_wld.html

>放射量は絶対温度の4乗に比例しますので一層複雑で、Gerlich & Tscheuschnerの論文では「平均温度」の放射平衡では地表温度を決められないと言っているように思いますが。
★そうですね。単純な加算平均が同じでも放射量は違うとありましたね。

>要するに対流の効果(断熱膨張・圧縮による気温減率)を入れた上で「温室効果」を入れようとしたと言いたかったのですが。
私が思うに、-18℃が15℃になる33℃の分は従来の水蒸気とCO2の濃度による「温室効果」として、地表15℃の「実際に観測される気温減率」を仮定し、灰色大気モデルでCO2がさらに増えると17℃/1kmの減率になるとしているのでしょうか(これは熱力学第二法則に反して計算された値と思いますが)。しかし、乾燥断熱減率(約10℃/1km)以上の減率は絶対不安定になって実際にあり得ないことを認め、乾燥断熱減率以上の減率部分(17℃/1km〜10℃/1km)の「温室効果」による温度上昇分は「実際に観測される気温減率」で放射平衡高さ(赤外線を放射する高度)が高くなるとして地表では15℃以上になっていくとしたのでしょう。
★すみません。この部分良く理解できません。何度も読み返しただのですが、私の能力の限界かもしれません。(笑)

>「一般気象学(第2版)」p.44の(3.12)式dp=-gρdzから直感的にわかるように大気層がが厚くなると気圧が高く、薄くなると気圧が低くなると思います。だから地球大気の97%の窒素、酸素、アルゴンなどの赤外不活性気体が約半分になれば約0.5気圧に2倍になれば約2気圧になって行くと思います。
★ここまでは異論ありません。

>ただ前記式のρは温度、圧力の関数、そして高さzの関数であるので単純に正比例はしないと思います。 dT/dzはうまくg/Cpの定数になるので、対流が起きる大気層厚が倍増すれば温度変化も倍増すると思います。
★そうすると倍増して2気圧になると今の気温減率とほぼ等しい減率で大気層厚が2倍近くになるということですね。納得しました。

>「温室効果」の科学的な議論が気象学会でないのは不思議ですね。再評価のためには学会での再議論が必要と思います。「クライメイトゲート」のような醜聞としての扱いでなく、真実を知りたいところです。
★学会内では眞鍋論文の影響は大きくだれも逆らえないというか異を唱えられない状態ではないでしょうか?私が知る限り唯一槌田先生がそういう主張をされているように思いますが、学会内からの反発は強いようです。Gerlich & Tscheuschnerの論文も知っている人は少数派でしょう。

>前に述べましたように、赤外活性気体による「温室効果」は「実際に観測される気温減率」に平行に放射平衡高度が高くなることでなく、気温減率自体が変わる(最大は乾燥断熱減率、最小は減率がなくなる)ことと思っています。それについてはまたの機会に議論したいと思います。
★「最大は乾燥断熱減率、最小は減率がなくなる」この主張には思いいたりませんでした。私自身は赤外活性気体の存在意義は「熱伝導率の悪い大気を効率的に冷却すること」ではないかと考えていましたが、確かに地表面に向かって考えた場合は「減率の維持」という役割もありそうです。難しくてよく分からないですね。

無題

  • by NONAME
  • 2010/08/10(Tue)12:15
  • Edit
磁化率≠磁化強度
(susceptibility)≠(paleointensity)です.

Re:無題

  • by はれほれ
  • 2010/08/12 16:50
>磁化率≠磁化強度
>(susceptibility)≠(paleointensity)です.
XRFでの解析がpaleointensityということでしょうか?よく理解してなくて申し訳ありません。
ご指摘ありがとうございました。

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