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悪魔のささやき

気象予報士の視点から科学的に捉えた地球温暖化問題の真相を追究。 地球温暖化を信じて疑わないあなたの耳元に聞こえる悪魔のささやき。それでもあなたは温暖化信者でいられるか?温暖化対策は税金の無駄遣い。即刻中止を!!! Stop"Stop the global warming."!!

   
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地球温暖化についてレポート2

 以下のレポートは知人が2年前に書いたものを今回私が加筆修正したものです。基本的に2010年9月末現在の情報に従っておりますが、一部それ以降の情報も含まれています。小中学生の方には前回のレポートより若干難しいと思いますので、どれか一つのテーマに絞って深く調べることをお勧めします。

はじめに
地球温暖化とは赤外線を吸収・放射する性質を持つ赤外活性ガス(温室効果ガス)が大気中に増加することによって地表面の温度が上昇するとされる現象である。Intergovermental Pannel of Climate Change (IPCC)によると、この100年余(1891~2007年)で全球平均気温の上昇は100年あたり0.67℃とされ[i]今後2100年までに最大6.4℃の上昇が予測されており地球環境への重大な影響が危惧されている[ii]。またIPCCによれば人間活動によって増加した温室効果ガスの中で化石燃料の使用による二酸化炭素(CO2)が地表面の温度上昇にもっとも大きく寄与しており、経済活動の活発化によって今後も排出増加が見込まれる。このためこれらの排出規制を行うことによって将来の気温上昇を抑制しようとする国際的なルールづくり、たとえば京都議定書(1997年)の努力が行われている。その根拠となるべき科学的事実を考察していく。
 
1.温暖化のメカニズム
 太陽光により暖まった地球から赤外線として熱エネルギーが出てゆくとき, 温室効果ガスによって赤外線がいったん吸収された後、半分が上方へそして残りの半分が地表面へ向かって再放射される。このため温室効果ガスがない場合に比べて温室効果ガスから余分のエネルギーを受け取るため地表面の温度が高くなると一般には説明されている[iii]
しかしこの説明は間違っている。対流圏中・下層においては温室効果ガスが赤外線を吸収してから再放射に要するまでの時間より他の気体分子(大部分は窒素、酸素などの赤外不活性分子)との衝突の方が早く起こるため「再放射」が起こる確率は極めて低い[iv]。実際の大気放射は分子間衝突による衝突励起の状態からの放射が大部分を占めておりこれを局所熱力学平衡と呼んでいる[v]。現在の「温室効果理論」はこのように科学的に誤った点から出発していることを忘れてはならない。
 さらにIPCCによると温室効果ガスは二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、六フッ化硫黄、パーフルオロカーボン類の6種類とされ、実際には最も多量に存在し赤外活性も広範囲の波長域におよぶ最大の温室効果ガスである水蒸気が意図的に除外されている[vi]。このためCO2が最重要な温室効果ガスということになっているが、実際には水蒸気の効果の方がCO2より数倍も大きい[vii]。このことはCO2が十分に存在する現在においても冬季の乾燥した夜間に放射冷却が起こることを考えれば納得がいくであろう。地球温暖化問題を議論する時にはこのようなカラクリもきちんとおさえておかなければならない。
 
2.温暖化懐疑論者が提出している疑問点と温暖化論者の反論
温暖化懐疑論の争点は次の点に分けられる。
1)   地球は本当に温暖化しているのか。これには以下の2つの議論がある。
①    気温測定点の評価について
最近の気温測定点は周囲の都市化に伴い気温測定環境の劣化が指摘されており、2010年夏39.9℃の気温を記録した京田辺市の測定点は測定器にツタがからみつき風通しの悪化が認められた。これは氷山の一角で日本のかなりの地点[viii]、米国の半分以上[ix](station.org)など気象観測点周囲の環境の劣化による誤差が大きいと考えられている。これらは観測点の劣化だけでなく都市化の影響も大きく受けている。
これに対して温暖化論者は世界の平均気温に対する都市化の影響はほとんどないと強弁している。[x]しかしこの唯一の論拠となっている論文も中国のデータの開示がないなど疑惑がもたれている。さらに1980年代後半以降世界平均気温に使用さている観測点は6000から1500に急激に減少しており脱落した観測点は田舎高地高緯度の地点であり、残存している観測点はほとんど都市化の影響をもろに受けるところである。[xi]これはNOAA(アメリカ海洋大気局)の下部組織NCDC(気候データセンター)による謎の観測点の間引きと呼ばれており、わが国以外では有名な事実である。特にロシアやカナダでの高緯度地域での観測点の減少が顕著である[xii]。NCDCをはじめとして、NASA(米国航空宇宙局)、日本の気象庁、イギリス気候研究所(CRU))などすべての世界気温データセットがこのデータを基にしており気候科学の根本的大問題となっている。
②    データの取り扱いについて
IPCC第三次報告で有名になった樹木の年輪から過去の気温を再構築したMannのホッケースティック曲線は、1000年間ゆっくりと低下していた気温が20世紀後半になって急激な上昇を示すものだが、これには従来から定説となっていた中世温暖期も小氷期も存在せず発表当初から疑問視されていた。クライメートゲート事件以降この論文のデータねつ造があきらかになっている。[xiii]20世紀末の温暖化も自然変動として異常なものではなく、1850年頃に終わった小氷期からの回復過程として全く矛盾しないものである。[xiv]これに対して温暖化論者はMannの誤りは引用の誤りであり結論はなんら変わらないと強弁しているようである。[xv]
2)   温暖化の原因が温室効果ガスの増加によるものかどうかという点については次の二つの議論がある。
①     太陽活動など他の要因はないのか。
20世紀の太陽活動周期長と北半球気温の相関[xvi]や14Cを用いた屋久杉の研究から約11年の太陽周期長と気温が逆相関の関係にあることが示唆されている[xvii]。これは太陽磁場を介した宇宙線と雲に関するSvensmark効果を介して説明される。[xviii]また太陽磁気活動が北極振動を通じて地球気候に大きな影響を与えているという報告もある[xix]
これに対して温暖化論者は20世紀後半においては太陽活動の活発化は見られず、20世紀後半の急激な温暖化は太陽活動では説明できない。温室効果ガスの影響を考慮しないと説明できないと主張している。またSvensmark効果に関してはa)理論的な証明が不十分である。b)宇宙線量に関して(雲の形成による温度上昇を説明するのに必要な)長期的傾向が見られない。などの反論がある。しかし、上述したようにすべての世界気温データセットにおいて1980年代以降都市化の影響を受けやすくなっており、それによって太陽活動とのかい離が出てきた可能性が濃厚である。宇宙線と雲に関しては現在CERNによる実験が進行中であり、この結果待ちである。
3)   増加したCO2は本当に人為起源なのか。
CO2は大気中の60倍も海水中に溶存している。また人間活動によって排出されているCO2の何十倍もの量が生物圏、海洋と大気の間を行き来しており[xx]、化石燃料由来のCO2は自然起源の5%程度である。自然の炭素循環がすべてバランスが取れているという観測結果はどこにもない。「自然の炭素循環は常につり合いがとれている」というのは何の科学的根拠もない温暖化論者の妄想に過ぎない。したがって自然界におけるトータルの炭素循環を考えると大気中に増加している二酸化炭素のうち人為起源のものは多くても5%程度と考えるのが妥当であろう[xxi]。しかし温暖化論者は自然界の炭素循環は常にバランスが取れている仮定した図を根拠として大気中に増加したすべてのCO2を人為起源としている。また完新世以来、一定だったCO2が産業革命後から増加したとする氷床コアから再現したグラフを唯一のよりどころとしているが、氷床コアの粗い分析をKeelingの精密な測定に滑らかになるように80年ほどずらしてつなげたものであり批判が多い。[xxii]実際に化学的方法による大気中CO2濃度測定が19世紀より行われており、この値と氷床コアの再現値との矛盾が指摘されている。[xxiii]
また南極ボストーク基地の氷床コアの分析によると過去16万年の気温と二酸化炭素濃度の変化は気温の変化が先に起こっており800年ほど遅れてCO2濃度が追随している[xxiv]。これはヘンリーの法則によって海水温が上昇し海洋から大気へのCO2の移動が起こった結果として何ら矛盾しない。そして氷期・間氷期の大きな温度変化は太陽と地球の位置関係、地軸の傾きや公転軌道の離心率の変化あるいは歳差運動などの(ミランコビッチサイクル)で起きていると考えられている。[xxv]
4) 温暖化したときの被害予測は本当に正しいのか。
これには次の二つの議論がある。
①    100年後のシミュレーションは信頼できるのか。
コンピューターシミュレーションによる21世紀末の気温予測は正しいとする考えはコンピューターモデルで過去の気温変化を再現できるという論拠によっている。しかしこれは答え(過去の気温観測記録)に一致するようにパラメーターをいじった結果であり、過去が再現できるからそのモデルの予測が信頼できるという根拠にはならない。1980年代の今から見れば幼稚なコンピューターの時代から現在の最新鋭のスーパーコンピューターまで過去の気候変化を再現できるコンピューターモデルは数多く存在するが、2100年の予測がみな同じわけではない。これはそれぞれが違った数式やパラメーターによって過去の気候を再現しているに過ぎないことを示している。モデルの一番の欠陥はグリッドが大きすぎて「雲」がきちんと表現できないことである。最重要のこの部分を「パラメーター」に頼っていては信用せよという方が無理というものであろう。さらに気候システムのような非線形現象はコンピューターシミュレーションには不向きで、他の研究者による再現も不可能で到底「科学」とは呼べないものである。[xxvi]
②     温暖化の悪い側面のみが強調されていないか。
気温が○℃上昇するとマラリアや伝染病が各地で流行し熱波で毎年何万人もの人々が死亡する。ハリケーンが巨大化し大きな被害が出る。などなどまさにホラー話の洪水である。しかし気温上昇の予測自体が不確かな話であるので以後のストーリーも全く根拠がないものである。このような作り話で環境省が国民を脅しているのだからあきれてしまう。[xxvii]たとえばわが国ではマラリアは媒介動物の撲滅によって根絶できたのであって気温が低下したため流行がおさまったわけではない。気温が上がったからといって再度流行地になるというのは全く根拠がない。温暖化傾向の20世紀中でもむしろマラリア流行地は縮小している。[xxviii]
乾燥化するところがあっても現在水不足のところで降水量が増加するかもしれないし、現在冷涼地で耕作に適さない土地でも耕作ができるようになることもある。熱波で亡くなる人が増加してもインフルエンザで亡くなる人の減少の方が多いかもしれない。温暖化論者の予想は意図的に悪影響だけを取り上げて誇張しているに過ぎない。
3.地球温暖化の影響
 地球温暖化の影響として大きく分けて二つになる。
1)気象現象および生態系への影響
2)社会への影響
その詳細は以下の事柄が懸念されている。
①a.降水量の増加
b.熱帯雨林の乾燥化や崩壊
c.海水面の上昇
d.生物の生息地の変化
e.生物種の数割にわたって絶滅の危機
f.海流の変化
②a.気候の変化による健康への影響や生活の変化
b.低緯度の感染症の拡大
c.農業、漁業などを通じた食糧事情の変化。
これらすべてに反論することは字数の関係で不可能だが、たとえば1cの海水面上昇についてツバルなどが沈むと一般に報道されているがこれも根拠がないヨタ話である[xxix][xxx]。また2bのマラリアについては上で述べた。
原則としてこれらはすべて二酸化炭素温暖化説が正しいと仮定しての話であり、今まで述べてきたことから全くの杞憂と言える。歴史的にも7000年前から5000年前にかけてのヒプシサーマル期と呼ばれる完新世最温暖期や前述の中世温暖期など温暖期にこそ人類は繁栄してきたという事実がある。万が一、温暖化説が正しいとしても人類活動に対して言われているほどの悪影響があるというのは根拠がない。
4.まとめ
 人為起源の二酸化炭素で地球が温暖化しているという科学的根拠はない。にもかかわらず、この問題がここまで大きくなったのはなぜだろう。まず、国連によるIPCCの設立によって「情報の権威付け」ができた。「IPCCがこう言っている」これが温暖化論者の決め台詞となった。しかしクライメートゲート事件以後査読論文しか引用しないはずのIPCC報告書にGreenpeaceやWWF(世界自然保護基金)の報告書が多数引用されていることが暴露された。[xxxi]さらにその後IPCC報告書の著者の中にこれら環境団体の活動家が多数含まれていることもわかった。[xxxii]WWFはそのHPで「地球温暖化の目撃者たち」[xxxiii]というプロジェクトを行い、「すべてにIPCCの科学者による科学的影響の背景説明がついているのが特徴」と自慢げに宣伝しているが、我田引水もはなはだしい。IPCCという権威による体のいい情報ロンダリングである。そして狂信的温暖化支持者は自分たちの主張と違う意見を発する科学者に対して、「石油業界のまわし者」「ホロコースト否定論者」などという反論の本質とはまったく関係のない罵声を浴びせた。それでまともな科学者は沈黙するにいたった。
また好ましくない出来事はすべて地球温暖化の影響として報道するメディアにも大きな責任がある。上に述べたように「ツバルが沈む」や「キリマンジャロの氷冠の縮小」、「ホッキョクグマの受難」などはほとんどはウソかあるいは事実であっても温暖化とは無関係の出来事である。
問題が巨大化するにつれて研究者にも温暖化関連の研究で莫大な予算が取れる(そうしなければ研究費が取れない)など人為的温暖化に反する結論の論文が出しにくい状況になっていった。またクライメートゲート事件で明らかになったように査読の段階において温暖化支持派が徒党を組み反対論文が世に出ないように細工する[xxxiv]など行動が非倫理的方向にエスカレートしていった。
さらに少なくとも日本国内では省庁がこの問題を利用して省益を拡大しようとこの風潮を助長している。1997年の「京都議定書」当時一介の「庁」に過ぎなかった環境庁が多くの省庁が合併して行政のスリム化が図られるなかで例外的に「省」に格上げされた。これには温暖化問題が大きく影響していると考えられる。さらに同省は排出権取引・炭素地下固定事業・炭素税の導入などをもくろみ天下り法人の設立や自分たちが独占して使用できる特別会計制度創設を狙っているように思える。
以上官・学・メディアの連携によって温暖化問題はここまで大きくなったといえるであろう。このように皆が皆同じ方向を向いているときには何かがあるというのは先の大戦を振り返ればわかる。我が国はこのことから学ぶべきことが多いと言える。国際的には排出権取引価格の暴落、IPCCへの解散要求が起こっている中我が国は全くの情報過疎となっている。このままでは世界から取り残されるであろう。国が滅んでも自分の研究費さえ取れればいいという研究者がいまだにいるのは日本国民として誠に残念である。
 


[vii] Barret,J. Greenhouse molecules,their spectra and function in the atmosphere.Energy & Environment 16:p1037-1045(2005)
[viii] 近藤純正ホームページ;基準34地点による日本の温暖化量
[xii] what the Russian paper say?; Russia affected by climategate.
[xiv] 赤祖父俊一;正しくしる地球温暖化、誠文堂新光社(2008)
[xviii] Svensmark,H:Cosmoclimatology: a new theory emerges Astronomy & Geophysics 48 (1), 1.18–1.24.(2007)
[xix] 伊藤公紀;太陽磁気活動の気候影響(3):北極振動とaaインデックスの相関に基づいて:Japan Geoscience Union Meeting 2010
[xx] IPCC第4次報告(2007)
[xxii] Jaworowski,Z. CO2: The Greatest Scientific Scandal of Our Time. ESL March 16 p40-53(2007)
[xxiii] Beck, E.-G. 180 Years of CO2 gas analysis by chemical methods. Energy & Environment 18 p 259-281(2007)
[xxvii] 環境省パンフレット「STOP THE 温暖化2008」
[xxviii] Gething,P.W. et al.Climate change and the global malaria recession. Nature 465;p342-345(2010)
[xxix] Aung,T.et al. Sea Level Threat in Tuvalu. Am.J. of Applied Sciences 6 : p1169-1174 (2009)
[xxxiv] 渡辺正 地球温暖化スキャンダル 評論社(2010)

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高層気象観測データと気候モデル

 気象庁では日本全国16か所の気象官署で世界標準時の0時と12時に高層気象観測を行っている。これはラジオゾンデを気球に載せて気圧、気温、湿度等を測定し、高度30 km近くまでの高層観測を行うものである。同時刻に世界各国でいっせいに行われている。
 1948年からの世界中のデータがアメリカNOAAの一部門National Centers for Environmental Predictio(NCEP)に集約されている。しかしながらこれらのデータはラジオゾンデの種類の変更による測定誤差の問題や、気温が低く水蒸気量が少ない高層・高緯度でのデータ精度がよくないとされ、ここから一定のトレンドを検出するのは従来から困難とされていた。Paltridgeらはこれらの点を考慮して精度に疑問がある1973年以前のデータや高層・高緯度のデータを除いて1973年から2007年まで35年間の気温、Relative Humidity RH(相対湿度)およびspecific humidity q (比湿;湿潤大気中の水蒸気質量の割合)の変化傾向を検討した。検討域のは0.5 g/kg以上ありこれは気温にすると熱帯域では-30℃以上、中緯度では-20℃以上に相当している。これらのデータを日々の天気予報に使用している全球モデルに入力し再解析を行い、全球の変化傾向を分析した。
 再解析データは緯度経度2.5°の格子に分割され高度は1000~300 hPaまで8段階の標準高度(1000、925、850、700、600、500、400、300)に分類されて出力される。熱帯域(20°N~20°S)は高度300hPaまで、中緯度(20°~50°)は両半球とも500 hPaの高度まで(夏季のみ400 hPa)を再解析した。これらの再解析データからそれぞれ地域ごとに月平均を算出したのが下図である。
Paltridge1.jpg図を見るとこの35年間において対流圏下層ではRHおよびqともに増加傾向にあるが高層ではどちらも減少傾向にあることがわかる。RH およびの増加傾向から減少傾向の境目はだいたい850 hPaあたりに存在し、増加傾向は大気境界層に相当しているように見える。それより上の高度の自由大気ではRH およびともに誤差範囲は大きくなるものの減少傾向にある。これらはコンピュータの再解析によって内挿されたデータから導かれたものであるが、熱帯域のラジオゾンデのデータだけ(格子数は2 %未満)でも下図のようにおおむね同様の傾向が示されている。また中緯度域データでも同様の結果であり(論文中には非表示)コンピュータによる再解析が実際の観測データに比べて著明に異なった傾向を導いたわけではないことが言える。


Paltridge2.jpg ラジオゾンデの観測データからは対流圏高層の水蒸気はこの35年間減少傾向にあることが示唆された。一方、この35年間に地上の世界平均気温は上昇したとされている。たとえば気象庁HP
個人的にはこれらのデータは額面通りには受け取れないものの、傾向としては間違ってはいないと考えている。さてここで問題が起こる。CO2倍増時にとんでもない平均気温の上昇を予測している気候モデルには対流圏全体の気温上昇に伴って水蒸気量も増加しRHが不変であるという前提条件が組み込まれているのである。つまり気温が上昇して飽和水蒸気圧が増加すると含有される水蒸気量も増加しRHは常に一定にadjustされている。そしてその水蒸気の赤外活性(温室効果)によってCO2倍増単独による地表の昇温効果を2倍以上に増幅する仕組みになっている。いわゆる水蒸気フィードバックである。ところが、図を見ると明らかなように観測結果からはRHおよびqの値は850 hPaの高さの大気境界層内に限局しており、上方の自由大気には予測ほど水蒸気の移送が行われていないことが示唆された。
 IPCCやモデラーなどが脅しに使用しているこの温度上昇の必殺技が観測事実と矛盾することになるが、温暖化論者はラジオゾンデによる観測データはunreliableという得意の決まり文句で無視を決め込むのだろうか。(笑)また彼らの理論によると熱帯対流圏上層に温度の高い領域、hot spotの出現が必須であるが、これも観測では認められていない。これについて日本気象学会九州支部第11回 気象教室において気象研究所の吉村純は「それは観測が間違っている」と言い放った。私のような凡人は自分が建てた仮説が観測結果と違うとき、仮説が間違っているのではないかとまず考えるのだがどうもモデラー連中の思考過程は違うようだ。あくまでも自分の理論に絶対の自信を持ち、自己の理論に都合の悪い観測結果は無視する。彼らにとってコンピューターの中だけが世界の真実なのだろう。(笑)とはいえ、また温暖化論に必要不可欠の「水蒸気フィードバック」理論の重大な矛盾が観測データから突き付けられたことになる。もういいかげんに目をさまして現実を見つめてはどうだろうか。
 
参考論文
Paltridge, G.et.al Trends in middle- and upper-level tropospheric humidity from NCEP reanalysis data.Theoretical and Applied Climatology: 10.1007/s00704-009-0117-x.(2009)
 

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「地球温暖化神話」の創り方

 2012年3月23日の朝、朝食を取りながらラジオを聞いていると「地球温暖化によって九州、沖縄の気温が100年で○○℃上昇し、桜の開花は△日早まっているという気象台の発表があった」(私の大雑把な記憶ですのでこんな感じの文章でしたが、一言一句正確に描写している訳ではありません)というローカルニュースが流れた。驚いた私は報道の元となった気象台のレポートを検索。そして再び驚愕。
 
「九州・山口県・沖縄の気候変動監視レポート 2012」の公表について 
 
気象台の発表よりNHKの報道に問題があるのではないかと考え、まず地元のNHK放送局に下記の文面で質問状を送った。
 
『3月23日午前7時ごろのラジオ第一放送のニュースで「九州・山口県・沖縄の気候変動監視レポート 2012」を取り上げる際に、「地球温暖化によりうんぬん(観測結果をつなげる)」という断定的な表現がありましたが、気象台のレポートを見るとそのような断定的な表現はしていません。
http://www.jma-net.go.jp/fukuoka/gyomu/osirase/houdou20120322.pdf
「長期的な気温上昇には、地球温暖化や都市化のほか、自然変動が影響していると考えられる。」となっています。なぜ事実を曲げてまで断定的な表現をしたのでしょうか?これに限らず地球温暖化に関するNHKの歪曲報道は目に余るものがありますが、なにか意図的なものがあるのでしょうか。お答え願います。』

地元の放送局からは1週間後にようやく返事が来た。それも早い話が「福岡放送局に訊け」ということであった。仕方なく同様の質問を福岡放送局当てのメールフォームに書き込んで再送した。
福岡放送局は迅速な対応だったが、調査不足のため数度のやりとりがあり、何度もメールフォームに住所氏名等を書き込むのは面倒極まりなく最後は強い口調で調査を依頼したところ最終的に次のような回答を得た。
 
『何度もメールいただきすみません。
6:25からのローカルニュースでこの話題を取り上げていました。
ニュースの表現は、「地球温暖化にともなって、九州と山口の年間の平均気温は、(中略)上昇していることが、気象台の調査でわかりました」としています。
「地球温暖化にともなって」としたのは、気象台の説明の中で、それが最も大きな原因とされたためです。とは言え、気象台がそれ以外の原因も考えられるとしている中では、舌足らずな表現だったかも知れません。本来は、「地球温暖化や都市化などにともなって」、などと、ほかの原因もあることを明記する方が、よりわかりやすかったと思われます。このニュースは、長期的に九州・山口・沖縄の気温が上昇していることを伝えたかったもので、事実を歪曲する意図はありません。』
 
要するに気象台に取材した際に「地球温暖化が最も大きな要因という説明だった」ということである。原本のレポートにはそんなことはどこにも書いていないので事実を確認するためにこんどは福岡気象台に下記の質問を送った。なお気象台のレポートでは気温上昇の要因のひとつとして「自然変動」を挙げており、ここで言う「地球温暖化」とは二酸化炭素排出による人為的温暖化を指していることは明白である。
 
『お忙しいところ申し訳ありません。3月22日発表の上記資料について質問します。
私の聞いた3月23日NHKラジオ第一放送の7時前後の放送では「地球温暖化のために観測されたいろいろな現象(桜の開花の早まりや、気温の上昇など)が起こっている」と放送されていました。非常に驚いて、次のような質問をNHKにしました。経過は省略しますが、3月30日にNHK福岡放送局から最終的に下記のお返事をいただきました。
略(NHK福岡放送局の回答文をそのまま転記)
『「地球温暖化にともなって」としたのは、気象台の説明の中で、それが最も大きな原因とされたためです。』とありますが、これは事実でしょうか?またもし事実なら自然変動や都市化の影響が認められるなかどのような手法でそれらの影響を定量的に取り除き、地球温暖化の影響が最も大きいとされたのでしょうか?ご回答よろしくお願いします。
略(氏名、住所、メールアドレス)』
 
気象台からは以下の回答がすぐに返ってきた。
 
『略
当件につきまして、以下のとおり回答させていただきます。
九州・山口県の平均気温の上昇には、地球温暖化や都市化のほか、自然変動が影響していると考えられ、22日の発表でもそのように説明させていただきました。
「自然変動や都市化の影響が認められるなかどのような手法でそれらの影響を取り除き、地球温暖化の影響が最も大きいとしたのか」というご質問ですが、
今回のレポートでは、九州・山口県の平均値は、福岡など都市化の影響が大きいと考えられる地点のデータも含めて単純に平均を計算しただけですので、
要因ごとにどれだけの寄与であるのかといったような定量的な評価までは行なってません。
地球温暖化は九州・山口県といった局地的な現象でなく、世界全体の温度上昇の話ですが、陸上気温ばかりでなく、地球表面の7割を占め熱容量の大きな海洋においても、
海面水温や海洋内部の貯熱量が長期的に増加しており、九州・山口県の気温上昇の重要な要因の一つであると考えられます。レポートでも九州・沖縄周辺の海域における
海面水温の上昇が世界全体の海面水温の上昇率よりも大きいことを指摘しています。
ただ、九州・山口県の気温には地球温暖化以外に都市化や自然変動など他の要因も影響していますので、今回のレポートの平均気温を解釈する際にはその点に留意していただく必要がありますが、22日の報道発表の際には舌足らずの説明だったかもしれません。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。
お詫びいたしますとともに、今後も気象台が発表する情報等をご利用いただきますようよろしくお願いいたします。』
 
どうも、すっきりしない。何を「ご迷惑をおかけした」とか「お詫びする」とか言うのだろうか?何度も読み返してやっと納得がいく理由を推定できた。気象台の回答者は「私が驚いた」理由を「こんなに地球温暖化が進んでいたのか!」と誤解したようだ。(笑)しかし「地球温暖化の影響が最も大きいと説明したのどうか」という質問の核心部分については当たり障りのない回答で答えになっていない。それで再び次のような質問を送った。今度は私の立場を明記して。
 
○○ 様
お忙しい中ご回答ありがとうございました。
『九州・山口県の平均気温の上昇には、地球温暖化や都市化のほか、自然変動が影響していると考えられ、22日の発表でもそのように説明させていただきました。』
■私の最初の質問の答えとしては取り上げた三つの中で「地球温暖化が最も大きな要因」という説明は会見でされたのでしょうか?それともNHK記者の誤解でしょうか?お答えからはよくわかりません。
 
『今回のレポートでは、九州・山口県の平均値は、福岡など都市化の影響が大きいと考えられる地点のデータも含めて単純に平均を計算しただけですので、要因ごとにどれだけの寄与であるのかといったような定量的な評価までは行なってません。』
■それならば「地球温暖化が最も大きな要因」などとは軽々に言えるはずはないと思いますが、いかがでしょうか?
 
『地球温暖化は九州・山口県といった局地的な現象でなく、世界全体の温度上昇の話ですが、陸上気温ばかりでなく、地球表面の7割を占め熱容量の大きな海洋においても、海面水温や海洋内部の貯熱量が長期的に増加しており、九州・山口県の気温上昇の重要な要因の一つであると考えられます。』
■人類出現以前から、また歴史的にも気候は自然に変動してきたことが確かめられています。ご指摘の現在の変動が、自然変動だけでは説明できず地球温暖化が重要な要因であることはどのようにして確認されたのでしょうか?ごく弱い赤外活性しか持たずしかも大部分は水蒸気と重複しているCO2がたかだか10000分の3から4に増加しただけで観測可能な変化が起きると考えるのは妄想ではないですか?「影響はあるだろうからとりあえず原因の一つに入れておけ」といういわゆる地球温暖化を枕詞に使っているだけではありませんか?
 
『ただ、九州・山口県の気温には地球温暖化以外に都市化や自然変動など他の要因も影響していますので、今回のレポートの平均気温を解釈する際にはその点に留意していただく必要がありますが、22日の報道発表の際には舌足らずの説明だったかもしれません。』
■どこが舌足らずだったのでしょうか?冒頭にお答えされたように単に三つの要因を指摘しただけなら何の問題もないと思いますが、何ら根拠なく地球温暖化の影響を強調したのなら舌足らずではなく歪曲でしょう。
何度も申し訳ありませんが、一番知りたい情報が回答からは読み取れませんでしたのでもう一度ご回答をよろしくお願いします。
略(氏名、住所、メールアドレス)
 
これに対する気象台は以下の通り。
 
『略
地球温暖化に関してIPCC(2007)では、「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高い」としていますので、今回のレポートで報告した平均気温の上昇を考える上でも重要な要因の一つであるということで説明させていただきました。ただ、九州・山口県、特に大都市である福岡市などの気温上昇については、都市化の影響も大きな要因として作用していると考えられます。○○様がご指摘されていますように、重要な要因の一つとして挙げることと定量的に大きいこととは別の話ですので、きちんとご説明すべきところでしたが、この点が舌足らずであったかと反省しております。説明不足のため、○○様にはお手数をおかけすることとなり申し訳ありませんでした。重ねてお詫びいたします。』
 
案の定というか、やはり地球温暖化が現実に起こっているという根拠はモデル頼みのIPCC4次報告だった。(笑)おそらくウソがばれてすべてが明らかになった時にはすべての責任をIPCCにかぶせて逃げ切るつもりだろう。もちろんその頃にはIPCCは解散していてだれも責任は取らずに済むはずだ。
都市化、自然変動、地球温暖化の三つの要因を平等に挙げるのならまあ許容範囲だが、根拠なく「地球温暖化が一番大きな要因」というのは歪曲であるというのが私の主張である。重要な要因のひとつとして挙げたが最も大きな要因だとは明言してないような書き方である。しかしどうも政治家の答弁を聞いているようで納得がいかない。YesかNoかで答えれば済むところを廻りくどくごちゃごちゃと言い訳まがいのことを述べていることが気になったので以下の再々質問を送った。
 
『略
ご回答ありがとうございました。
『平均気温の上昇を考える上でも重要な要因の一つであるということで説明させていただきました。』
ということはNHKのいう
『(地球温暖化が)最も大きな原因』ということはおっしゃられてないわけですね。
私が知りたいのはその一点、すなわちだれが地球温暖化の影響を誇張したのかということです。この点について明確なご回答をお願いします。
それからご存じのことと思いますが、
『地球温暖化に関してIPCC(2007)では、「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの観測された増加によってもたらされた可能性が非常に高い』
についてですが、2009年11月のクライメートゲート事件以後「IPCCがこう言っている」、「IPCCによれば」などはジョークでしか使われておりません。
たびたびすみませんが、再度ご回答をよろしくお願いします。
略(氏名、住所、メールアドレス)』
 
そして最終的な返事が以下である。
 
『略
報道発表の場では報道発表資料に基づき「長期的な気温上昇には、地球温暖化や都市化のほか、自然変動が影響していると考えられる」と解説させていただきました。その後、「気温が上昇している最も大きな原因は何か?」という質問がありましたので、「気温が上昇しているのは、地球温暖化がベースとしてあるので、これが最も大きな要因である。ただし、今回のレポートの九州・山口県の平均気温は、都市化の影響の大きな地点のデータも含まれており、例えば、福岡の気温の上昇率が大きいのは、都市化の影響が現れていると考えられる。」と説明させていただきました。
日本の平均気温の長期変化傾向を見る場合には、都市化の影響の少ない地点を選択し平均をとることによって、1.15℃/100年という地球温暖化トレンドが算出されています。
「九州・山口県地域に限って、気候の長期変化傾向が、より広域の空間スケールで観測される日本域の気候変化とは別のふるまいをする」と考えるべき積極的な根拠がない限り、九州・山口県の1.69℃/100年という数値にも、広域の地球温暖化トレンドである1.15℃/100年が反映されているとみることが合理的と考えられます。
以上の考えから、九州・山口県・沖縄という地域的に広がりをもって気温が上昇しているという観測事実を科学的に説明できる最も根源的な要因が地球温暖化であるという意味で、「最も大きな要因である」という説明をさせていただきました。
IPCCの報告につきましては、様々なご意見があるのも承知しており、また色々な考えがあるのも当然のことと考えます。
しかしながら、気象庁では、人為的な温室効果気体の増加と地球温暖化の因果関係をはじめとする地球温暖化の科学的根拠に関しては、大多数の正当な科学の手順を経た成果をベースとしたIPCC第4次評価報告書を、現時点では最も信頼できるものと考えております。
○○様には、以上のような気象庁の基本的な考えにつきましてご理解いただける幸いに存じます。』
 
やはり思った通り、会見では「地球温暖化が最も大きな原因」と明言していたようだ。「定量的な評価はしていない」と認めていながら、会見では何ら根拠なく「地球温暖化が最も大きい」などとたわごとを言う。しかも自然変動を全く無視して田舎の観測点の気温上昇をそのまま地球温暖化によるものとみなしていることが判明。今回に限ってはNHKは無罪、気象台の会見が大問題だったようだ。しかも明確なねつ造や歪曲を行いながらも「舌足らず」という弁解で、単に説明不足だっただけでねつ造の意図はなかったことを強調している。会見場にいた報道関係者、あるいは彼らからの二次情報でこの観測結果を知った視聴者・読者の大部分は一次情報(気象台発表のレポートそのもの)に触れることはなくそのまま、地球温暖化が進行していると受け取ってしまうだろう。今までもそしてこれからもこうして「地球温暖化神話」が創られていくわけだ。ひどい話だが、情報を受け取る側がきちんとしたリテラシーを身につけておかないと今の世の中どこにどんな詐欺話がころがっているかわからない。特に地球温暖化問題のように研究者や官庁などにも大きな利権がからむ話になると利害関係がある当事者の話は割り引いて考えた方が無難である。きちんと最後まで回答していただいた気象台の担当の方に敬意を表するとともに私なりの反論を返信しておいた。
 
『△△様
このメールには返信は不要です。
○○です。大変答えにくい質問に率直にお答えいただきありがとうございました。おかげさまで気象台の発表とNHKの放送の事実関係がよくわかりました。
反論を述べておきます。
>都市化の影響の少ない地点を選択し平均をとることによって、1.15℃/100年という地球温暖化トレンドが算出されています。
都市化の影響はゼロではありませんし、この1.15℃の中には当然のことながら「自然変動」が含まれています。すべてを地球温暖化の影響による上昇とすることは根拠がありません。したがって
>最も根源的な要因が地球温暖化であるという意味で、「最も大きな要因である」
というのは論理が破たんしています。
何回もお手を煩わせてすみませんでした。真摯にご回答をいただきありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
略(氏名、住所、メールアドレス)』

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揺らぐ水蒸気フィードバック

 温暖化論者は二酸化炭素を最大の温室効果ガスと定義するために最初に水蒸気を別格として除外。次に二酸化炭素の温室効果だけでは地表面の温度を上げることができないので、ここで水蒸気を引っ張り出して「二酸化炭素が増加すると水蒸気が増加しさらに温室効果が強くなって温暖化が進む」これがいわゆる「水蒸気フィードバック」と呼ばれるtrickである。すべての温暖化論者およびモデラーが支持し、モデルの根本となっている二酸化炭素温暖化説の中核となる基本原理だ。たとえばこの問題で莫大な研究費を分捕っていると考えられる国立環境センターの説明などその典型である。この説明をJack Barrettの論文と比較して二酸化炭素の温室効果をかなり大きく取り扱っている。まあそんな小手先のごまかしには目をつぶるとして、ここでも根拠のない(唯一の根拠はモデル)水蒸気フィードバックが最もらしく語られていることに注目しよう。
 
 Climategate事件以降、数々の不正やデータの間違いが白日のもとにさらされ窮地に陥っている温暖化信者に対してまたまたやっかいな問題が持ち上がった。2010年9月20日、フランス科学アカデミーから温暖化信者のセントラルドグマ、水蒸気フィードバックについて痛烈な批判が飛び出した。全文訳を下記に記載。終わりの方の「その間接的影響については未だ議論されている」という部分が水蒸気フィードバックのことを指している。結構柔らかい表現だが、これは今までさんざん脅威をあおってきた科学者のメンツを保つための婉曲表現で、Harusantafeによれば「未だ議論されている」というのは「要はデタラメである」ということだそうだ。(笑)
 
 ついに本丸に火がついた二酸化炭素温暖化説、このまま燃え尽きてしまうのか?そして今までこの理論を支えていた連中は何事もなかったかのようにまた他のテーマで研究生活をつづけるのだろうか?はたしてそんなことが許されるのだろうか。以下全文訳。
 
気候についての討論

科学院は去る2010年9月20日に気候に関する科学的な討論を催した。それは本年4月1日に科学と高等教育の大臣によって『気候変動についての科学的な知見の現状を規定し、公平な方法や視点を作る』為に開催されたものである。」

この会議は運営委員会によって準備された。この委員会は、学者(学術員、関係者、関係外部機関)によって作成された40箇条に基づき、気候の主題に卓越した人々が科学院に招集された。
9月20日の会議では、方針の異なる傍聴者を招いて、構成する様々な主観について理解できるようにした。このように、気候科学は前提にする様々な専門分野と関係する複雑で特殊な領域である。

会議は連続する4つのセッションによって構成されていた。各セッションは関係者によって主導され、現状のプレゼンテーションによって議論された。このプレゼンテーションは体系的に発表された後に全体の討論があって、科学的に、確実なことと、解決していないこと、先攻研究の対象が明らかにされた。

過去の気候のなかでは、日照時間の変化の影響は地球の確定的な軌道の上のことであった。しかし逆に、太陽活動のサイクルの影響については未だ議論されている。この20年間というもの、衛星や太陽と連携した大きな問題にまつわる信用出来る観察データ(donnees de observation)は、妥当性のある科学的解体のなかで気候変動に取り組ませてきた。未来の為のプロジェクトという視点から欠くことの出来ない、データを解釈する為のモデルが、この間急速に進歩した。人間の活動によって排出される温室効果ガス(gaz a effet de serre)に関しては、その直接の影響についてはコンセンサスがあるものの、その間接的影響については未だ議論されている。気候の変動を理解する為に同定されている手法のなかでは、雲の物理化学(la physicochemie de nouage)が能動的な研究の方向のように見え、強化されている。

文献や口頭発表の貢献で作成されたこの討論についての学術院のレポートは、10月末にこのページで公開される。
                             (Remiちゃんありやと)
参考文献など
 
国立環境研究所 地球環境研究センター;ココが知りたい地球温暖化「水蒸気の温室効果」
 
Barrett,J Greenhouse molecules, their spectra and function in the atmosphere.Energy & Environment. 16 p1037-1045(2005)
 
Débat scientifique sur le climat:Institut de France Academie des Sciences.(2010)

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暁新世・始新世温度極大期;8.PETMの日本語総説

   以前PETMに関しては適当な日本語の総説がないと述べたが実は長谷川の素晴らしい総説があった。これはCIE(12Cに富んだ炭素の急激な流入)を中心に述べたものであるが、よくまとまっていて、PETMの全体像をつかむには最適であろう。ここでは真のCIEの大きさについて詳しく論じられている。
 まず浮遊性有孔虫の個々の個体を用いた分析ではCIEの大きさは3.5~4.0%とされている。また植物バイオマーカーからは5.1%程度のCIEの規模が得られておりこれが真のCIEの大きさだとすると温度効果やpH効果を考慮しても浮遊性有孔虫では5.5%程度のCIEが記録されるはず。このかい離を説明するために以下のような説明がなされている。
 一つ目は温暖化および湿潤化によって植物バイオマーカーの同位体分別が大きく出てしまったとする。(つまり浮遊性有孔虫の方が真のCIEである)
 二つ目はPETM時の植生の変化によって植物バイオマーカーのCIEが大きくなったとするものである。現生の場合針葉樹より被子植物の方が13Cの割合が小さいのでPETMによる温暖化で針葉樹から被子植物への植生の変化が起こったため、見かけ上植物バイオマーカーのCIEが大きくなったと考えていうものである。
 最後に現生の針葉樹と被子植物の同位体分別の違いは低CO2環境に特有の現象であり、高CO2濃度であった古第三期には当てはまらないとして、植物バイオマーカーこそが真のCIEの値を示しているとしている。長鎖n-アルカンに4.5%(C29)から6%(C27)のCIEの記録がみられ浮遊性有孔虫のpH効果を加味した4.5%と一致するという報告がある。
以上この論争はこれからも活発に続いていくものと思われる。
 
しかし、残念ながらこの総説には個人的に気に入らない部分がある。
CO2による強い温室効果が生じたことがPETMの原因と考えられている。
思わず、何言ってんのと突っ込みたくなる。
これまで「PETM研究は地球の将来予測につながる」という文言は論文を飾るための胡散臭い美辞麗句に過ぎない感があったが
その通り!と賛成したとたんに
今後10年で「重量感を伴う真実味のある言葉」として受け入れられるようになるだろう。
だって。
 
さらに気に入らないのは2007年末のSluijs論文が引用されていないことである。長谷川論文の提出は2008年10月20日となっている。ならばSluijs論文には十分に間に合っており、この論文さえ引用していれば「CIEはPETMの結果」であることが明らかである。なぜ無視したのか著者に直接尋ねてみた。
私の総説は、Sluijs論文が出る前の有機地球化学会における講演を土台として書き上げたもので、その時点で議論に含めていなかったために落ちていると思います。意図的に引用しなかったわけではありません。
とのこと。まあ2008年の論文が引用されてはいるが、ここは著者を信じることにしよう。しかし、原因と結果は卵とニワトリの関係で、最初に火山噴火などで少量のCO2濃度上昇がありそれが温度上昇を招きメタンハイドレートの融解云々とも述べている。以前に述べたNisbetらと同様のこじつけ論である。どうしても「温室効果で温暖化」という先入観から抜け出せない研究者がここにもいるようだ。堆積物が明確に事実を語っているにもかかわらず・・・・である。
 
 

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