京都メカニズムと呼ばれるもので「排出権取引」というものがある。今は表現をソフトにするため「排出量取引」と呼ぶようだが、これなど「売春」を「援助交際」と称してことの本質を誤魔化すのと同じテクニックで温暖化論者の得意技である。英語では「emissions rights」と表記されており、どう訳しても「排出権」であろう。それゆえ本ブログでは「排出権取引」という用語を使用する。
この排出権取引は京都議定書の温室効果ガスの削減目標を達成できそうもない国が削減に余裕のある国からお金で排出権を購入するシステムである。1990年基準ではまともに削減義務を負うのは日本だけとなり、現在我が国の独り負け状態である。10年以上前からこういう状況になるのは火を見るより明らかだった。京都議定書が「不平等条約」とか「外交上の失敗」と評価されている理由である。ところが、条約を結んだ無能な役人連中は反省し責任をとるどころか、このシステムを利用してますます自分達の権益を広げようとさえしている。
このたび2009年3月に政府はウクライナおよびチェコから排出権の購入に同意したようだ。とうとう恐れていたことが現実となってしまった。前者が3000万トンおよそ340億円弱、後者は4000万トン500億円程度のようだ。(公表されていないため金額は推定)もちろんこれは国民の税金で支払われる。これだけの国民の血税をつぎ込んでおきながら、金額を公表しないとはどういうことか。国民を馬鹿にするにもほどがある。今話題のアニメの殿堂の予算が117億円である。これの7つ分の予算が使われているのになぜ誰も何も言わないのか不思議でならない。
2009年5月22日、経団連副会長である新日鉄会長三村明夫は「京都議定書は外交上の失敗」と暗に(でもないか)外務省と環境庁(当時)の無能無策を指摘し、ポスト京都後の中期目標に関しては1990年比4%増の現実的な数値を示した。それを聞いた環境大臣斎藤鉄夫は「(そんな低い削減目標では)世界の笑いものになる。」と批判したそうである。(フロレスタンによるウェブ魚拓)いったい何を血迷っているのか、陰で嘲笑されているのは国民の血税を使って世界中から何の役にも立たない「排出権」という「免罪符」を買いあさっているお前だよ。この記事で唯一の救いは財界代表が「国民に過剰な負担にならないように国益を主張するのが行政責任者の役割だ」と愚かな大臣に真っ向反論していることである。よく言った、フロレスタンの言うようにあとで撤回したりするなよ。みっともないぞ。
どうもこの国の役人、政治家は国益は二の次、三の次、いかにして私腹を肥やすか、あるいは自省庁の権益を守り広げるかしか頭にないようである。もはやこの国は「終わっている」のかもしれない。
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