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悪魔のささやき

気象予報士の視点から科学的に捉えた地球温暖化問題の真相を追究。 地球温暖化を信じて疑わないあなたの耳元に聞こえる悪魔のささやき。それでもあなたは温暖化信者でいられるか?温暖化対策は税金の無駄遣い。即刻中止を!!! Stop"Stop the global warming."!!

   

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気候コンセンサスをねつ造せよ

 前回、自分に不都合な論文がpublishされそうになった時のイーストアングリア大学のClimatic Research Unit(CRU)の気候学者達のやり方を学んだが、今回のテーマはもしも知らない間にそんな論文がpublishされてしまったときの対処法を研究してみる。(笑)
 
 前ヴァージニア大学環境科学教授Patrick J.Michaelsの「How to Manufacture a Climate Consensus (気候コンセンサスのねつ造方法)」という記事が2009年12月17日付のThe Wall Street Journalに掲載されている。この記事の日本語訳としてはこちらのブログに詳しいので参照してほしい。
 
 ことの発端は2003年にClimate Research誌に温暖化支持派のCRUグループにとっては実に不愉快な論文が二つ掲載されてしまったことである。Climate Researchは査読つきの論文雑誌であり、CRUの連中はあわてたようだ。たとえば2003年3月11日にMannからJonesへ当てた電子メールには次のように書かれている。
「I believed our only choice was to ignore this paper. They've already achieved what they wanted--the claim of a peer-reviewed paper.」
「我々の唯一の選択肢はこの論文を無視することであると信じる。彼ら(懐疑論者)は欲しがっていたもの、査読つきの論文という主張をすでに手に入れてしまった。
 
「So what do we do about this? I think we have to stop considering "Climate Research" as a legitimate peer-reviewed journal. Perhaps we should encourage our colleagues in the climate research community to no longer submit to, or cite papers in, this journal. We would also need to consider what we tell or request of our more reasonable colleagues who currently sit on the editorial board...What do others think?」
「このことに関して我々は何をするべきか?我々は"Climate Research"誌を正当な査読雑誌として考慮するのをやめるべきだと私は考える。我々は気候研究における我々の同僚にこれ以上この雑誌への投稿や引用をしないように奨励するべきである。我々はまた我々の伝達したい事や最近編集委員になったもっと理性のある我々の同僚に要請することを考慮する必要がある。他の皆はどう思うか?」
 
要するに自分達の気に入らない結論の論文を載せた雑誌に対して、圧力をかけることを呼びかけたわけである。Michaelsの記事によると、
 
「JonesやMannらの脅迫の結果Climate Research誌の編集委員の半分が辞めた。(人数は不明)これ以後はCRUグループでない人々は論文をpublishすることがしだいに困難となることを経験し始めた。」

つまり、CRUグループと異なる見解の論文は世に出ることが、ますます困難になっていった。さらに2004年12月のScience誌に掲載されたOreskesのエッセー「人為的温暖化に反対する論文はひとつもない」へとつながり、「人為的温暖化に反する事実がないから論文が存在しない」というようにウソが世界的に広められて行くのである。しかし今、「コンセンサス」の内幕が暴露されてみるとCRUグループ(≒IPCC)がやってきたことはヤクザと同じ恐喝である。Michaelsは記事のなかで「mob(暴徒)」という言葉を彼らに対して使用しているがまさにドンピシャの単語だ。
 
では、Climate Research誌に掲載されて彼らmobを怒らせた論文とはいったいどんなものだったのか。そのうちのひとつがSoon and Baliunasによる「Proxy climatic and environmental changes of the past 1000 years.」と題された論文である。彼らは140を越える過去の論文をreviewして過去1000年の世界各地の気候を再構築した。そして
    Little Ice Age(LIA)があったかどうか。
    Medieval Warm Period(MWP)があったかどうか。
    過去1000年で20世紀が最も高温といえるかどうか。
以上の3点について調査し、結果はLIAおよびMWPともに2つのプロキシを除いて世界各地の記録からその存在が確認されている。さらに、
「most of the proxy records do not suggest the 20th century to be the warmest or the most extreme in their local representations.」
「代理記録のほとんどは20世紀が最も暖かいとか局所を代表して最も極端な気候であるということは示唆していない。」
と結論している。時代背景を考えるとこのようなホッケースティックを否定する結論の論文が掲載されたことは「奇跡」なのかもしれない。あらためて当時のClimate Research誌の「公正さ」に敬意を表したい。しかしこの論文が、ホッケースティックの生みの親Mannの気に障らないはずがない。もともとホッケースティック自体が「人類起源のCO2によって20世紀は前例のないほど暖かい時代である。」という彼らの「教義」にあわせて作られたものである。そして今度はそれを守るために異論を頭から排除するという暴挙に出ている。これは科学ではなくて宗教である。科学なら提示された証拠に対して議論が戦わされるべきである。Michaelsによれば、Baliunasは彼らmobからの嫌がらせにやる気を失なくしたようで、科学の表舞台から姿を消してしまった。世界は優秀な宇宙物理学者を一人失ったことになる。彼女のHPも2004年以降更新されていない。とても残念である。
「20世紀が前例になく暖かい時代である」という「教義」のためには彼らmobにとってMWPが目の上のタンコブである。そして彼らの情報操作はMWPを抹消する方向に動いて行くことになる・・・・・・・。続く・・・・かも。
 
ClimateGateからの教訓2;自分達に不都合な論文を載せた雑誌には投稿・引用をやめると編集者を脅迫せよ
 
参考サイト
PATRICK J. MICHAELSHow to Manufacture a Climate Consensus
 
masayangの日記;地球温暖化・合意の捏造

参考論文 
Oreskes,N. The Scientific Consensus on Climate Change. Science 306 p1686 (2004). 

Soon,W. and Baliunas,S. Proxy climatic and environmental changes of the past 1000 years.Clim.Res23:p89-110(2003)

                                          (2010年1月6日一部修正)

2010年1月11日追記
こちらにも素晴らしい抄訳があります。ご参照ください。
takのアメブロ;How to Manufacture a Climate Consensus:査読制度の崩壊

2010年1月8日付けのWSJにTimothy L. Grove によるMichaelsの記事への反論が掲載されています。内容は「エール大学のJames Saiersの移動は圧力のためではなかった。査読制度は昔から機能している。だから問題ない。」という幼稚なもののようです。あわせてご覧ください。

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ロシアの気温変化に改ざん疑惑

 一年間のご愛読ありがとうございました。 

 私は自ら「懐疑論者」と名乗ったこともないしそんな自覚もないのだが、どうも私のことを「懐疑論者」と思っている人が多いようでびっくりしている。(笑)私の原点は「温室効果理論」の「再放射」と、冷たい上層から暖かい下層へ熱が移動するという「熱力学第二法則」との矛盾に疑問をもったことにある。しかし、いろいろと勉強していくに従って「人為的温暖化論」は全く正しいのではないかと思うようになった。
 
 2009年12月15日にロシアのInstitute of Economic Analysis(IEA)が「ハドレーセンターはロシアの気候データを改ざんしたようだ。」という内容の報告を出している。これによると、
ロシアの気象観測所は国土のほとんどをカバーしているにもかかわらず、ハドレーセンターはレポートの中でわずか25%しか使用していない。これはロシア国土の40%以上が、観測所の欠如以外の理由で世界の気温計算に含まれていないことを意味する。ハドレーセンターのデータにリストアップされていない観測所のデータは20世紀後半から21世紀初めまで何ら重大な温暖化を示してない。
さらにIEAの分析者は続ける。
遠隔地の正しいデータよりは都市化の影響を受けている人口の多い地域の観測所のデータを(ハドレーセンターの)気候学者たちは使用している。
世界の陸地の12.5%を占めるロシアでの気温の歪曲のために温暖化の規模が誇張された。そのような誇張の規模を評価するためにすべての世界の気温を再計算する必要がある。
上記のように、ハドレーセンターは選択的に都市化の進んだ地点の観測所をピックアップして、実際よりロシアの温暖化が進んだように操作した疑いが持たれている。
 
 さらに今回のclimategate事件で暴露された電子メールの中に2004年3月31日、Phil JonesからMichael E. Mannに当てた次のような文章が含まれている。
 
Recently rejected two papers (one for JGR and for GRL) from people saying CRU has it wrong over Siberia. Went to town in both reviews, hopefully successfully. If either appears. I will be very surprised, but you never know with GRL.
最近、CRUがシベリアに関して間違っていると書いてある二つの論文がリジェクトされた。(ひとつはJournal of Geophysical ResearchでもうひとつはGeophysical Research Letters)希望的にも、上できにも、二つの論文について熱心に議論をした。(went to town)もしどちらかでも雑誌に掲載されれば、私は驚いたであろうが、GRLでは決して掲載されることはないだろう。」(超怪しい、ブログ主の訳。だれか適切な訳を教えて!)
 
 2004年当時「ハドレーセンターのシベリアの気温統計がおかしい。」という二つの論文が提出されたがJonesの働きかけによってリジェクトされ結局論文は掲載されなかったということのようである。そのリジェクトされた論文のうちのひとつがClimite Auditに紹介されている。
 
A Homogeneous Temperature Record for Southern Siberiaと題されたこの幻の論文のなかで著者のLars Kamélは次のように述べている。
「(南シベリアの)1901年から2002年の期間において、100年あたり0.33−0.62 K(1~12月平均)、0.45−0.76 K(12~11月平均)の(ハドレーセンターの統計とは違って)気温の低下傾向を示した。おそらくこれはCRUのデータが都市化による温暖化傾向をあまり除外していないことに起因していると考えられる。
ここに表された結果から地球の表面気温はさらに他の地域、あるいは世界的レベルにおいてさえも再検討されるべきである。
 
つまり2004年においてすでに最初に述べたロシアのIEAと同じ指摘がなされていたにもかかわらず、彼らの手によって論文が握りつぶされていたことになる。これは大変重大な問題である。そしてこのケースは氷山の一角で、他にも同様のことが行われていた可能性が極めて高い。少なくとも彼らがやっていることは「科学」ではない。

ClimateGateからの教訓1;自分たちに不都合な論文が出そうになったら査読の段階で圧力をかけて潰せ。

 温暖化傾向が強く出るように都市化の影響が大きいところを人為的に選んで平均気温を計算する。これこそ「人為的」温暖化である。なるほど「『man-made』global warming」とはそういう意味だったのか。(笑)私は「人為的」温暖化論を強く支持する。もう「懐疑論者」などとは呼ばせない?

参考サイト

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海洋酸性化と石灰殻生物

 CO2の起源はどうであれ大気中CO2濃度が上昇すれば海洋表層のpHは低下する。(厳密には「酸性化」ではないが、便宜上ここではこの現象を「酸性化」と呼ぶ。)これはPETMでも起こった事実である。温暖化論者はこの現象が進むとサンゴなど炭酸カルシウム殻を持つ生物への影響を声高に叫んでいる。これに関連して2009年のScience(11月20日号)にYamamoto-Kawaiらによる論文が掲載されている。
2008年の北極海カナダ海盆の調査では表層水はすでにアラレ石(aragonite)に対しては未飽和になっている。この変化はカナダ海盆における最近の海氷の広範な融解の直接的な結果である。さらに大陸棚を破壊して通過した海氷の後退が北極海の大陸棚の上へアラレ石に未飽和の海水が表面下の増強される湧昇に好ましい条件を生み出している。注:表層より下層のアラレ石に未飽和の海水が表面に湧昇しやすい状態になっているということらしい。なぜ下層の方が未飽和なのかというのは残念ながら私にはわかりません。:byはれほれ未飽和状態は浮遊性、底性両方の石灰殻を持つ生物相、さらには北極海のエコシステムの構成に影響を及ぼすであろう。」
 すでに炭酸カルシウムでも方解石(calcite)に比べて溶解しやすいアラレ石に関しては予想より早く未飽和の状態になっており生物相への影響が懸念されている。まさに温暖化論者が小躍りする内容である。しかし実際の生物界への影響はどうであろうか?5550万年前のPETM時には現在の数倍の大気中CO2濃度からさらに短期間で12CリッチなCO2の排出が起こっている。石灰殻生物にとっては現在よりはるかに悪条件が重なった状態であったはずだ。それでもサンゴをはじめとする生物は現在まで繁栄を続けている。たとえ温暖化論者が何と言おうとこの事実は重く、もし影響が及ぶとしてもPETM以後に現れた比較的新しい生物群に限定されると考える方が自然である。いまだ証拠がなく、生物相への悪影響は彼らの「妄想」の範囲を出ていないのである。
 2008年のScienceにIglesias-Rodriguezらが高CO2濃度下において植物プランクトンの一種coccolithophoreの石灰化が実際に促進されていることを報告した例を拙ブログでも紹介したが、現実は温暖化論者が主張するほど単純ではないことを示す一例である。さらにGeology 2009年12月号にRiesらが興味深い実験結果を発表している。アラレ石、低Mg方解石、高Mg方解石の3タイプの炭酸カルシウムを合成する18種類の底性海洋生物を種々のCO2濃度の下で60日間の飼育実験を行った。(abstractからは温度や圧力は不明) 
 結果は10種の生物は正味の石灰化の減少を示し、そのうちの数種は上昇したCO2濃度下では正味の融解が起こっていた。しかし予想に反して1種(ムラサキイガイ)はCO2に対して全く反応がなく、残りの7種(カニ、小エビ、ロブスター、紅藻、緑藻、温帯ウニ、カサガイなど)は中程度や最高レベルのCO2濃度でも正味の石灰化の増加が見られた。これらのことは石灰化を起こす場所のpHを制御する能力が生物間で様々であることを反映しているのかもしれない。さらにこれらの結果は大気中CO2濃度の増加の海洋生物に与える衝撃は以前考えられていたより多様であることを示唆している。
  さらにサンゴ、硬いハマグリ(hard clam)、ロブスターはCO2濃度1000ppmvまではまったく石灰化の量は変化せずそれを越えると前2者は石灰化が減少し後者では増加するという。これに対して軟らかいハマグリ(soft clam)やカキではCO2濃度の上昇の割合に比例して石灰化の減少を認めたという。最も顕著な例ではCO2濃度2800ppmvになると、アラレ石が溶解を始める。硬・軟ハマグリ、ほら貝、たまびき貝、えっちゅうばい貝、熱帯うにの殻は溶け始める。この状態が十分な期間続けばこれらの生物は殻を失い捕食者に対して無防備な状態になると考えられる。ただし、生物相互間の関係は複雑である。カニはハマグリを捕食するためCO2濃度の増加によって自分の殻は強化される一方で餌となるハマグリの殻は薄くなり捕まえやすくなる。しかし長期にわたってこの状態が続いてハマグリが減少すればカニもいづれは生存が危うくなるかもしれない。早い話が人智の及ぶ範囲ではないということだ。最後に注意としてこれらの実験は栄養が十分に行き届いた条件で行われており、硝酸塩やリン酸塩などの栄養分の欠如によっては違った結果が出るかもしれないと述べている。
 これらのことから言えるのは、CO2濃度上昇がすべての生物の石灰殻の形成を抑制するとは単純には言えず、その影響は様々であるということだ。すなわち生物界は温暖化論者が考えているよりはるかに複雑であるということである。自然界のすべてを理解し、気候でさえもコントロールできる、さらには100年後でさえもスーパーコンピュータを使えば予測できるなどと考えている温暖化論者というのは単に愚か者が思い上がっているだけ、としか思えない。
 
参考論文
 
Yamamoto-Kawai,M. et al.  Aragonite Undersaturation in the Arctic Ocean: Effects of Ocean Acidification and Sea Ice Melt. Science 326. p1098 – 1100(2009)
 
Iglesias-Rodriguez,M.D. et al. Phytoplankton Calcification in a High-CO2 World. Science 320. p336-340 (2008)
 
 
参考サイト
 
Woods Hole Oceanographic Institution
 
 
 

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暁新世始新世温度極大期;6.北極圏におけるETM2の特徴

 Naturegeoscienceの2009年11月号にSluijsの論文が掲載されている。この雑誌は2年前の創刊号から購読しているのだが、あまりにもつまらない論文が多い(ばかり)ので購読するのをやめようかと思った矢先のできごとである。今、ちょっと迷っている。(笑)

以下抜粋
 Sluijsらは古緯度85°Nの北極海のLomonosov Ridgeの海底堆積コアからEocene Thermal Maximum 2(ETM2)温暖化イベントについてレポートをしている。ETM2は約5350万年前に起こったPETM(5550万年前)に次ぐ2番目の温暖化イベントである。(今後はonsetの年代は最も確からしい値ということでこの数値を使用;by はれほれ)ETM2時のCIEはさまざまな場所からのデータがあるものの、温暖化の証拠は亜熱帯南東大西洋の浮遊性有孔虫から得られたδ18Oの0.8%の負移動しか証拠がない。このイベントがグローバルな温暖化をもたらしたものかどうか北極圏でのデータが注目される。
 彼らはPETMから20mほど上位の層準でCIEとdinocystの生物学的層序学によってETM2を同定した。20cmほどの間に-3.5%のCIEを認め1m足らずの間に背景値に復している。(たとえばPETM時の高分解記録Bass Riverは約17万年のCIE期間で10.3mの堆積率である;by はれほれ)
 ETM2の期間は渦鞭毛藻のdinocystは低塩分耐性で富栄養を要求する種がメインになり、一方で海洋性の種が消失している。これはETM2期間の北極海表層水の低塩分化と富栄養化を示しており、これは地上由来の花粉や胞子の増加とともに北極圏での降水と河川からの流入の増加を示していると考えられる。ラミネートされた沈殿物の出現や有機有孔虫の内面(lining)が欠如しているのは底層水が無酸素状態(anoxic)を示している。この時期に一致して塩分耐性の渦鞭毛藻の最も豊富に存在しカロチノイドの誘導体である硫酸結合イソレニーラテン(isorenieratene)が記録されている。これは光合成緑色硫酸細菌の褐色strainに由来し、有光層が還元性(無酸素硫化的)状態であったことを示している。
 当時は陸域に近いロケーションで水深は200m程度と推定され花粉や胞子などの陸上由来の堆積物も多く見られている。花粉は種にメタセコイアなどの針葉樹が主だが、最も温暖だった時期に一致してヤシの花粉が1~4%に認められている。現存のヤシは花粉量が小さくこの低い出現率でもかなりのヤシがこの時期北極圏に存在したと考えられる。ヤシは最寒月平均気温(CMMT)が5℃以下の地域には自生せず、この時代北極圏のCMMTは8℃以上であったと考えられる。
 TEX86’(おそらくTEX86の改良版と思われる。5~30℃の範囲でSSTと直線関係があり、誤差は2℃以内)によるsea surface temperature(SST)の再構築ではETM2前後の背景SSTは22 1.4 °CでETM2期間には26~27℃に上昇している。
 ETM2とPETMを比較すると両イベントともに急速な温暖化、淡水流入の増大、生物学的生産率の増大、水柱の無酸素状態の発達を示している。さらにXRF scanがelemental intensityで同じパターンを示しており、Fe、Sにおける増強はPETMでは海底でのさらなる還元状態を反映していると解釈されているが、ETM2でも同様であり成層化と無酸素状態を示す証拠と一致している。これらの同一性は陸上、浅海、深海での質的に同じ気候応答をPETMとETM2は共有していると言えるであろう。またPETM時に見られた渦鞭毛藻とは異なる種がETM2では出現している。これは低塩分化がETM2の方が強かったため、降水や河川からの流入はETM2の方が大きかったか、地形的な影響のためと考えられる。背景となったSSTはETM2の方がPETMよりも約4℃高かった。実際にPETM時のピーク温度とほとんど同じであり、これは早期始新世の長期間の温暖化傾向と一致している。しかし北極海の温暖化は他の地域に比べて大きく、アイスアルベドフィードバックの欠如にもかかわらず極域では温暖化が増幅されている。ピーク時のSSTもETM2の方が3℃ほど高い。これはヤシの花粉の出現からも推測される。「CMMTが8℃以上」は早期始新世北極圏の冬季気温の最初の見積もりであり、早期始新世の二酸化炭素濃度と地勢学において強制されるモデルでは氷点より著明に低いCMMTを産生する。おそらくモデルには組み込まれていない雲を介したフィードバックが高CO2濃度のもとでの冬季北極圏の寒冷化を著明に減弱していると考えられる。それゆえそのようなメカニズムが顕著になる温室効果ガスの閾値と気候によって将来の北極圏の温暖化に対する予測がしにくい正のフィードバックを含んでいる。
 抜粋ここまで
 
ETM2でも世界規模の温暖化イベントと考えられ、なおかつPETMよりSSTは高かった。水柱の成層化が進み底層では無酸素(anoxic)な状態が続き、有光層も還元的状態であった。低塩分化もPETMより強かった。実は1.概要で書き忘れたのだが、PETM時は深海底はanoxicな状態になっており底性有孔虫の絶滅の原因と考えられている。この論文では大気中CO2濃度の推定値やCIEの原因となった12Cリッチな炭素の放出量や海水pHの変動の推定などには触れられていない。また地層の堆積率が小さいためCIEやSSTの上昇についての正確な順序も明らかにはなっていない。しかしやはり現モデルでは温度勾配の小さなSSTは全く再現できていないようである。Sluijsらは「雲のフィードバック」を候補に挙げているが、これも根拠のない推測に過ぎない。それよりも個人的には最近のSluijsの発言には切れのよさが感じられなくなっている。もしかすると温暖化派に寝返ったのだろうか?まさか・・・・・。
 
参考文献
Sluijs,A et al.Warm and wet conditions in the Arctic region during Eocene Thermal Maximum 2.Nature Geoscience 2.pp 777 - 780 (2009)

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北極圏の永久凍土の実態

 拙ブログの「永久凍土の融解」のコメント欄に論文著者自ら「地盤工学会誌の論文、『温暖化への永久凍土の応答』を読むように」と教えていただいた。早速こちらよりアクセスしてバックナンバーを取り寄せた。(雑誌1600円+送料400円)以下一応のブログ主のまとめである。ただし明らかなミスプリントなどは勝手に解釈して変更しているのであくまでも文責はブログ主にある。
 
 永久凍土は東シベリアでは深く、西シベリアでは浅い。これは東シベリアでは最終氷期から深い凍土が形成されていたのに対して、西シベリアは最終氷期に2000mを超える厚い氷床に覆われており基底部の温度が0℃以下にならず氷床溶解後に凍土の形成が始まったためである。また永久凍土の深さは気温の変動にはただちに応答せず、気温が‐10℃から一瞬で0℃に上昇したとしても永久凍土全層が融解するには1000年かかるというモデル計算もある。したがって現在進行している温暖化が短期間に永久凍土の垂直分布に影響を与えることは考えにくい。
 永久凍土表層は夏季に表面が融解し冬季に再凍結する。これを活動層と呼ぶ。この活動層が現在の温暖化で深くなるかどうかをCircumpolar Active Layer Monitoring(CALM)で調査しているが選択された131地点では気温の上昇にもかかわらず過去10年間で活動層が深くなった事例は報告されていない。凍結層が水を浸透させないため活動層の底面に水がたまり高含水比層が形成される。現在の夏季積算温度では潜熱発生分を考慮するとこの層を融解することはない。
 永久凍土に森林火災が起こると直達日射量の増加、表層の熱伝導率の低い有機物質の消失、焼け跡のアルベド減少などにより一気に活動層が深くなる。この時あまりにも活動層が深くなると冬季の低温では再凍結せずタリクと呼ばれる凍土内融解層が残存することになる。高含水比層がなくなると水の過剰供給と地盤沈下により火災跡地は沼沢化、拡大しサーモカルストを形成する。
 北極海沿岸ではエドマと呼ばれる地下氷を含む永久凍土層が高さ数十mの海岸段丘として露出している。浸食後退は夏季の融解と強い沿岸流によって起こる。温暖化によって海氷が接岸する期間が短くなると沿岸流による浸食作用が大きくなる。(間接的影響)北極域では過去1万年にわたって沿岸浸食が起こっており、これによっていくつかの島が消失した。
 
 以上。まとめここまで。この地盤工学会誌2009年4月号は「特集、地球温暖化と異常気象」となっており温暖化関連の論文が5本掲載されていて、福田の論文はその中のひとつである。他の論文の多く(4分の3)が最初にIPCC4次報告を論拠として温暖化を述べているのに対して福田の論文は北極圏が近年温暖化しているという観測的な事実から本題に入っている。またメディアによる間違った報道を指摘し(永久凍土の大規模融解の報道、アラスカ北東部での大規模海岸浸食による家屋の倒壊を温暖化による永久凍土の融解とする報道)他の論文とは一線を画した内容になっている。結局気温が少々上昇しても永久凍土の応答は遅く、活動層底面に高含水比層が存在するため大規模な永久凍土の融解は起こらない。それよりも山火事などが重大な影響を及ぼしているということである。今までここで紹介してきた論文と同様の結論である。メタンによるポジティブフィードバックなど所詮は温暖化論者の妄想である。

参考論文
福田正己 温暖化への永久凍土の応答 地盤工学会誌57(4).p10-13(2009)

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