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悪魔のささやき

気象予報士の視点から科学的に捉えた地球温暖化問題の真相を追究。 地球温暖化を信じて疑わないあなたの耳元に聞こえる悪魔のささやき。それでもあなたは温暖化信者でいられるか?温暖化対策は税金の無駄遣い。即刻中止を!!! Stop"Stop the global warming."!!

   

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大気中CO2のresidence time とCO2濃度上昇

  人為的に大気中に排出されたCO2がどのくらいの期間大気に留まるかという問題は、温室効果(赤外活性効果)による温暖化を考えるうえでとても重要である。IPCCの第一次報告書のSPMには大気中CO2のresidence time(RT:滞留時間)は50~200年という見積もりがなされていて、この数値を根拠として現在進行中の大気中二酸化炭素濃度上昇の責任を人為起源のCO2に押しつけている。ところが、これに対して5~15年程度という見積もりが以前より多数存在している。このRTに関して今年のEnergy&Fuelsの5月号にEssenhighの論文が掲載されている。もちろん査読つきの論文である。この中でEssenhighはGCMの替わりにPSRというモデルを使い、CO2のRTは12CO2で5年以内、14CO2で16年程度との結論を得ている。これは他の多くの報告の5~15年と一致した見積もりであり、IPCCの主張する50年~200年よりはるかに小さい値である。Abstractの最後にEssenhighは次のように結んでいる
『短期(5~15年)の滞留時間によって結果は擬似平衡(quasi-equilibrium)であるということを示し、このことはさらにこの100年にわたる大気中CO2濃度の上昇は人為起源ではなくてその他の研究によればほとんど気温の上昇の結果ようであり、そしてその気温の上昇は他の自然要因によるものであるという結果を支持する。これはさらに地球温暖化は燃焼の結果として駆動される人為的なものではないという結論を支持する。』
明解な結論である。リンク先のabstractからはこれ以上のことはわからないが、この論文についてSegalstad(彼も90年代からIPCCが主張している炭素循環に異議を唱え続けている)の解説がある。RTの推定は単純に大気中総CO2量750GtCを自然の交換量150GtC/yearで割った値である。750/150=5年となる。(近藤邦明は交換量を250 GtC/yearとして3年という値を使用しているようだ。)Segalstadは以下のように述べている。
『The rising concentration of atmospheric CO2 in the last century is not consistent with supply from anthropogenic sources. Such anthropogenic sources account for less than 5% of the present atmosphere(中略)The rising atmospheric CO2 is the outcome of rising temperature rather than vice versa.』
『前世紀の大気中CO2濃度の上昇は人為起源からの供給と一致しない。そんな人為起源は現在大気の5%以下しか説明できない。(中略)上昇している大気中CO2はその反対というよりも気温上昇によるものである。』(ブログ主の一応の訳、以下同じ)
『So why is the correct estimate of the atmospheric residence time of CO2 so important? The IPCC has constructed an artificial model where they claim that the natural CO2 input/output is in static balance, and that all CO2 additions from anthropogenic carbon combustion being added to the atmospheric pool will stay there almost indefinitely.』
『それでなぜCO2の大気中RTの正しい見積もりが重要なのか?IPCCは自然のCO2の出入りを静的均衡の中におき、大気プールに付け加えられた人為的燃焼炭素由来のすべてのCO2の付加が、ほとんど不明確にそこに留まり続けるというモデルを構築している。』
 
  結局RTが5年ということは6年前に排出されたCO2はもはや大気中には存在しないということであり、産業革命以来排出された人為起源のCO2の約半分が大気中に蓄積して大気中CO2濃度を上昇させているというIPCCの主張を真っ向から否定していることになる。またSegalstadは今年発表されたIPCC co-chairのSolomon,Sの論文の「RTは無限」という主張にも後半部分で厳しく反論している。
  Essenhighの論文は「大気中のCO2増加は気温上昇による自然起源」という槌田・近藤が以前から主張してきたものと同様の結論だが、この論文がもしも日本気象学会に提出されていたら、当然のことながら日の目をみることはなかったであろう。(笑)(笑)
  槌田・近藤、Segalstadに続いてRoy SpencerそしてついにはEssenhighまで大気中CO2の増加は人類起源にあらず!という説を唱え始めた。人為的温暖化説はその足元からゆらいでいるようだ。もはや自然崩壊寸前に見える。(笑)

参考サイト
参考文献
Solomon, S. et al.: Irreversible climate change due to carbon dioxide emissions. Proceedings of The National Academy of Sciences of the USA [PNAS] 1066: 1704-1709.(2009)

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暁新世・始新世温度極大期;2.CIEの原因

 5500万年前といえば、大陸配置も現在とは少し異なっている。その頃の地質学的なイベントや大陸配置はこちらに詳しい。ただし図がないので一目瞭然とはいかないのでSluijsの総説から当時の大陸分布図を参考のために示しておく。
 petmearthmap.jpg
図はThe Palaeocene-Eocene Thermal Maximum super greenhouse:
biotic and geochemical signatures, age models and mechanisms of global changeより

CIEcarbon isotope excursion)の原因は13Cが少ない炭素のリザーバーから大気―海洋系に短期間で大量の炭素の流入があったためと考えられる。δ13Cの値について概略の数値を期した図を提示しておく。

delta13C.jpg

炭素安定同位体比の概略図






ここで簡単にδ13C、安定炭素同位体比について説明しておく。基準となる物質(多くは海洋生物のベレムナイト)と比べてどれだけ13Cの含まれる比率が多いか(プラスの値)少ないか(マイナスの値)を表している。したがって海水はほぼベレムナイトに等しいので0である。大気のCO2は海水からの蒸発時に軽い炭素の方が蒸発しやすいため(重力による分別)7‰ほど軽くなる。(-7‰)さらに光合成を行う植物は軽い炭素を好んで使うのでC4植物で-14‰、C3植物では-27‰と値が小さくなる。また海底で堆積した有機物が熱分解された熱分解起源メタンは-25~60‰(平均-30‰)、嫌気的に微生物で分解された微生物起源メタンなら-55~85‰(平均-60‰)とさらに負の値が大きくなっている。
PETMでは浮遊性有孔虫で-2.5~4‰以上、底性有孔虫で-2.5‰、土壌中の炭酸塩粒子で-5~6‰、陸域の高等植物で-4~5‰のδ13Cの負移動が起こっている。(CIE)これは負の値の大きな炭素が比較的短期間に大量に大気-海洋系に流入したと考えられる。したがって図からわかるように大気のδ13C-7‰より軽い値を持つ炭素がその起源として考えられている。
 まず、陸上生物起源の炭素(δ13C=-27‰程度)が世界的規模の大火災で放出されたという説がある。しかしこの説は当時の大火災を示す証拠がなくCIEのメインの理由とは考えにくいようだ。次にその他の仮説のほとんどすべてが海洋底に広く分布しているメタンハイドレート(methane hydrate:MH)をCIEの原因炭素に挙げている。図からわかるように熱分解起源メタン(主として深海底に存在)、微生物起源メタン(主として大陸棚などの浅海底に存在)ともに非常に低いδ13C値を持っておりこれらが何らかの原因で大気-海洋系に流入すれば効率よくCIEを引き起こすことが可能となる。
 MHの融解を引き起こした原因については多くの研究者によって種々の仮説が提唱されている。爆発流星の衝突によるもの、あるいはちょうどこの時期は北大西洋の分裂開始の時期と一致し、火山活動が盛んな時期でマグマの貫入によってMHが融解したという説がある。実際にノルウェー海の地震波探索でたくさんの排気孔のあとが見つかり、北東大西洋の炭素を豊富に含む堆積層にマントル由来マグマの大量の貫入がCIEの原因となったという説がある。また北大西洋地域の数百メートルにおよぶ一過性の隆起が海底のMHを融解させCIEの原因となったという説もある。これらの説に共通するのはCIEがPETMの温度上昇を引き起こしたとする考え方である。反対に深層水の温度上昇がMHの融解を起こしてCIEを引き起こしたとする考えもある。すなわち、CIEはPETMの原因ではなくて結果であるという考えである。たとえばDickens et al.(1995)は深層水温が11℃から15℃に上昇すれば中深度以浅のMHが融解し、CIEを説明できるとしている。またTripati & Elderfield (2005) は、南北両半球と赤道近くの中間深度の海底水温の上昇がCIEよりわずかに先行していることを示し水温の上昇がMH融解の引き金になったと説明している。
 次に放出された炭素の総量の推定について述べる。これにはCIEの大きさと起源物質のδ13Cを考慮して放出された総炭素量を推定する方法と、CIE自体が温室効果(赤外活性効果)により気温上昇を引き起こしたという考えに立脚して、現在推定されている気候感度(CO2倍増時の気温上昇)から放出された総炭素量を見積もる方法などが行われている。
 まず第一の方法では、上述のDickens et al.では、CIEの大きさを−2 ~−3‰として炭素換算で1100~2100GtC以上のδ13C-60‰のMHの融解が必要としている。二番目の気候感度から推定する方法としてPagani, M. et al.(2006)を紹介する。気候感度を1.5~4.5℃としてPETM前の平均気温が産業革命前より5℃ほど高かった推定し、これから当時の大気中CO2濃度を750~2600ppmvと見積もった。さらにここから5℃上昇させるのに必要な炭素量を3900~57000GtCと計算している。しかし、気候感度が現在いわれているものと同じでは平均気温の上昇を説明できず、もっと気候感度が大きくないといけないと主張している。ついでに当時のCO2濃度の推定について触れておく。Lowenstein,T.K. and Demicco,R.V.(2006)は塩水湖に堆積した炭酸ナトリウム鉱物から早期始新世(5600万年前~4900万年前)の温暖期の大気中CO2濃度は1125ppmv以上あったと見積もっている。その他の推定値も現在より高い値が一般的である。この事実だけからみても「CO2濃度の上昇で地球が破壊される。」というような気候警鐘家の脅し文句は根拠のないことがわかる。その他のCIEで排出された総炭素量の推定方法としてZachos,et al.(2005)は南大西洋の異なる古深度の堆積コアの分析によりcalcite compensationdepth (CCD)が海水pHの低下により2km以上浅くなったことを見出し、これから必要な炭素量は2000 GtC以上であったとしている。またZeebe,R.E. et al.(2009)は最近の論文でCIEの大きさとCCDの変化の両方を満たすようにモデルを使って計算し排出された総炭素量を3000GtCと推定した。しかしこの量では現在もっともらしいと言われている気候感度からはPETMにおける温度上昇を説明できないとし、温度上昇には別の要因の存在が必要と述べている。

参考論文
Storey,M. et.al. Paleocene-Eocene Thermal Maximum and the Opening of the Northeast Atlan.Science316:pp587-589(2007)
Cramer,B.S. and Kent,D.V. Bolide summer: The Paleocene/Eocene thermal maximum as a response to an extraterrestrial trigger. Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol.224:144-166(2005)

Svensen, H. et al.  Release of methane from a volcanic basin as a mechanism for initial Eocene global warming. Nature 429:pp542-545(2004)
Maclennan,J. and Jones S.M.Regional uplift, gas hydrate dissociation and the origins of the Paleocene Eocene Thermal Maximum. Earth and Planetary Science Letters
245:pp65-80(2006)
Dickens, G. R.et al. Dissociation of Oceanic Methane Hydrate as a Cause of the Carbon Isotope Excursion at the End of the Paleocene, Paleoceanography 10:pp 965–971. (1995)

Tripati,A. and Elderfield,H. Deep-Sea Temperature and Circulation Changes at the Paleocene-Eocene Thermal Maximum. Science 308:pp.1894-1898(2005)

Zeebe,R.E. et al. Carbon dioxide forcing alone insufficient to explain Palaeocene-Eocene Thermal Maximum warming.NatureGeoscience 2:pp576-580(2009)
Pagani, M. et al. An ancient carbon mystery.Science
314.pp1556-1557(2006)
Lowenstein,T.K. and Demicco,R.V. Elevated Eocene Atmospheric CO2 and Its Subsequent Decline.Science 313:pp1928(2006)


以上まとめ

1. PETMにおけるCIEを起こした炭素源についてはδ13Cの小さな海洋底のMH特に微生物起源メタンの融解に原因を求める説が多い。
2. 融解の原因はさまざまであるが、PETMによる温度上昇がその原因であるというCIEは温度上昇の原因ではなく結果であるという説もある。
3. 暁新世のpre-PETMの大気中炭素濃度推定値はいずれも高いものが多く。1000ppmvを越えている推定値が多い。それでも生物は繁栄していた!!!

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暁新世・始新世温度極大期;1.概要

私のブログを訪れてくださる読者の一部は勘違いしているようだが、私は地球温暖化が脅威でないと言ったことは一度もないし、CO2が温暖化の要因ではないと言ったこともない。温暖化の真実を知りたいだけである。・・・・・・・なーんちゃって。(笑)その証拠といっては語弊があるが、今回は昨年1月(1年半もたってる!)の気象予報士会での発表をもとにPETMについて少し書いてみる。
 
化石燃料起源の二酸化炭素が大気中に貯留し、その赤外活性効果(温室効果)によって気温が上昇しひいては大災害や生物の大量絶滅を引き起こす。これは温暖化論者の最も喜ぶ(危惧している?)カタストロフィックなシナリオである。一般にこれは根拠のない妄想と考える人もいるかもしれないが、実は歴史上そのような事件が実在したと考えられている。今から約5500万年前に起こった暁新世始新世温度極大期(Palaeocene-Eocene Thermal Maximum;PETM)がそれである。
PETMは1991年のKennett&Stottが底性有孔虫の殻の酸素および炭素同位体比の異常と底性有孔虫の過去9000万年で最大の絶滅を報告したのが最初とされ、以後現在まで多くの知見が蓄積されている。炭素同位体比の異常、つまりCIE(carbon isotope excursion)とは12Cに富んだCO2あるいはメタンが大気海洋系に短期間(数千年内)に大量に注入されたことにより海洋生物の石灰殻や陸上生物の歯でもδ13Cの負の方向への移動が指摘されている。注入された炭素の量は炭素換算で2000~4000GtCにも及ぶと推定され、現在の人類による化石燃料消費と期間・量ともに極めて似ており現在進行中の気候変動との関連が注目されている。
この時代が急激に温暖化したことは、熱帯域では海表面45℃におよぶ上昇深層水温も同程度の上昇をしたことが酸素同位体比(δ18O)の負移動や石灰殻のMg/Ca比から示されている。陸上生物圏では北半球では熱帯生物の北上が指摘されている。高緯度地域では北極圏での海表面温18℃から23℃と著明な上昇が指摘され、北緯80°に位置するエルズミア島ではこの時代に森林が繁茂ワニなどの爬虫類や哺乳類も生息していたことが知られている。浅海域では熱帯性の渦鞭毛藻が大陸に沿って高緯度域まで大繁殖しており、このことには海水温の上昇だけでなく海水準の上昇も関与していると考えられている。またPETM時にはcalcite compensation depth (CCD)が2kmも浅くなっており、一過性の海洋酸性化が起こったことも示唆されている。
上に述べたようにPETMは大気中CO2(メタン)濃度の極端な上昇とともに、地球の平均気温が4~5℃上昇し海水準の上昇、海洋の酸性化および底性有孔虫の絶滅が同時期に複合的に起こったイベントと考えられている。まさに温暖化論者が泣いて喜ぶ組み合わせで、現在進行形の気候変動の最終的な終着駅との考えも存在している大変重要なイベントである。松岡の論文の「はじめに」の部分が割とまとまっているようだが、私の知る限り日本語では適当な総説がない。英語ではPETM研究の最先端の一人であるユトレヒト大学のAppy Sluijs大変素晴らしい総説がある。ぜひ一度読んでいただきたい。また拙ブログの左欄からはSluijsの研究サイトにリンクしている。こちらは少し専門的で骨が折れる内容だが興味のある方はどうぞ。PETMは「これを知らずして現在の温暖化を語るなかれ」とまで言われている新生代初期の大事件である。まだ長くなりそうなので今回は概要のみとする。続く(予定)
 
本項の要旨は日本気象予報士会西部支部2008年1月例会(2008年1月12日)にて「暁新世・始新世温度極大期最新の知見」として述べたものです。

2009年7月16日一部修正(参考文献、リンクなど)

参考サイト 
The Canadian Encyclopedia : Ellesmere Island Eocene Fossils

参考文献
Tripati,A and Elderfield,H.Deep-Sea Temperature and Circulation Changes at the Paleocene-Eocene Thermal Maximum Science 308.  pp. 1894 - 1898(2005)
有孔虫のMg/Ca比から熱帯・域亜熱帯域の深層水温が45℃上昇
 
PETM時の太平洋の海表面は4~5℃上昇した。
 
 
 
Thomas,E & Shackleton,N.J. The Paleocene-Eocene benthic foraminiferal extinction and stable isotope anomalies.Geological Society, London, Special Publications 101.pp 401-441(1996)
 PETM時にはこの7500万年で唯一の底性有孔虫の大量絶滅が起こった。数千年間に30~50%の多様性の減少が認められた
 
 
 

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灰色大気モデルの罪

 「温室効果」はdeliberate misnomer(故意の誤称)と言われている。「温室効果」および「温室効果ガス」という用語は実際の温室が暖まる現象とは全く機序が異なり、誤解に基づく不適切な名称である。しかし、このネーミングが一般人の感性に受け入れられやすいため地球温暖化問題がここまで大騒ぎになった大きな要因のひとつであり、温暖化論者の狡猾さがうかがえる。本ブログでは今後はできる限りこれらの用語は使用せず「赤外活性」「赤外活性気体(ガス)」という用語を使用することにする。ただし、混乱を招くといけないのでカテゴリーには「温室効果」をそのまま残しておく。
 この温暖化問題の誤解の原点には灰色大気モデルがあるような気がする。熱力学の初歩中の初歩でだれもが最初に通る道である。それゆえあまりにも簡略化し過ぎたこのモデルの影響から温暖化信者は抜け出せないのではないか?いや抜け出せないからこそ温暖化信者なのだろう。以下に灰色大気モデルと実際の地球大気との違いを思いつくままに書いてみる。
 灰色大気モデルとは惑星の上空に太陽放射はすべて透過させるが、地表面からの赤外放射をすべて吸収し再放射する仮想の大気層を考えたものだ。(図1)
haiirotaiki.jpg






まず、大気が何もない場合地表面の放射平衡から(σはStefan-Boltzmann定数)
I=σTg4   ∴Tg=4乗根(I/σ) ・・・・・・①
次に太陽からの入射エネルギーには透明で地表からの赤外放射をすべて吸収する薄い大気層が図のように存在すると仮定する。地表面での放射平衡から
I+σTa4=σTg4
大気層での放射平衡から
2σTa4=σTg4
この二つの式からσTa4を消去して
2I=σTg4    ∴Tg=4乗根(2I/σ)・・・・・・②
①と②を比較すると大気がない場合に比べて地表面の温度は 2の4乗根倍(約1.25倍)に上昇することになる。これが「温室効果」と一般に言われているものである。
 地球の場合、大気が存在しない場合の理論値は255K。実測値はおよそ288K(15℃)でこの差33Kが「温室効果」によるとされている。(理論通りなら約319K=46℃)しかし、この灰色大気モデルはあまりにも単純化されすぎていて多くの問題点を含んでいる。気がつくままにそれらを列挙してみる。(あくまで個人的な考えであることを断っておく)
1.    灰色大気モデルの場合空中に浮遊している薄い層を仮定しているため「地表面」の定義がその存在の有無によらず自明である。しかし、現実の地球大気は地表面に接しておりどこを「地表面=地球の表面」と定義するのかという問題が出てくる。現在主流の考え方は従来通り「地表面」を固体地球としその直上の大気の温度で代用しているが、これが正しいかどうか議論はなされていない。この場合大気も地球の一部であり、大気最上層を地表面とする。あるいは大気層厚の中間高度とか、対流による影響を避けるため対流圏最上部とか、あるいは大気は無視して今までどおり地表面そのものの温度にすべき(直上の気温ではなく)とか、きちんとした議論があってしかるべきであろう。
2.    灰色大気モデルでは非現実的な空中に浮遊した薄い層を仮定しているため、対流や伝導が起こらず、熱の移動は放射だけを考えればよい状況である。それゆえ「放射平衡」を考えることに全く違和感はない。しかし現実の地球大気は引力によって地表面と接しておりある程度の厚みを持っている。そのため対流や伝導による熱の移動が起こっている。そのような動的な大気に「放射平衡」という概念を押しつけることが果たして適切なのであろうか?ここもほとんど議論されていないように思う。
3.    灰色大気モデルでは薄い層を仮定しているため層内部のミクロな構造や分子の運動は無視されており、全く考慮されていない。たとえばこの層は吸収した赤外放射をそのままあらゆる方向に放射するように仮定されているが、実際の地球大気では頻繁に分子衝突が起こっており地表面放射を吸収したあとそれが再放射される確率はごくわずかである。また灰色大気モデルの場合は地表面および灰色大気ともに「黒体放射」を行うことが大前提となっているのだが、実際の地球大気は地表面からの赤外放射の一部しか吸収しない。特に二酸化炭素の吸収域は極端に狭い。もちろん放射も同様である。以前本ブログでも触れたようにここでとんでもない勘違いをしているのが角皆静男、ESD、SGWである。自分の思い込みから、ESDは「赤外不活性」の新定義を提唱、SGWにいたっては「通常ふく射」という新概念を導入して何とか赤外活性分子に黒体放射をさせようと必死であった。「温暖化」という結論が先にあって、そこへ向かって無理やりこじつけやごまかしを使ってでも強引に話を持っていく。まさに温暖化論者の真骨頂である。彼らも灰色大気モデルを通ってきたはずで、その先入観にとらわれて前に進むことができないでいるようだ。
以上、長々と書いてきたがまとめると、
1.地表面をどこにとるか。2.対流、伝導が起こる状態に「放射平衡」を想定することは妥当か。3.いわゆる「再放射」は起こらず、しかも二酸化炭素の場合その波長域は極めて狭い。
筆者自身にも答えがわからないものもあるが、これらはすべて灰色大気モデルの先入観から生じたものではないかと思っている。
 

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さすがはNHK!

 「地球温暖化問題」に関する日本のメディアの報道姿勢を論じるまでもないのだが、こちらに国際北極圏研究センター(IARC)の福田によるラジオ放送がある。一般人にもわかる平易な言葉でこの問題の問題点を解説している。カナダのバンクーバーの日本人向け放送局でのインタビューのようだが、日本でもこのようなまともな放送局がひとつくらいあってもいいのに・・・・と思う次第である。
最近、近藤邦明がNHK批判を繰り返している。NHKのひどさは今に始まったわけではないので今更という気がするし、あんな下らない番組をよくがまんして見るものだと思う。私とは忍耐力が違うのかもしれない。(笑)しかし、あの番組を見て年々洗脳される国民が増加しているのは事実で「ウソも繰り返し見せれば本当になる」ということもありNHKの罪は大きい。この問題が解決したおりにはしっかりと責任を取ってもらわねばならない。戦前「鬼畜米英」を唱えて国民の戦意高揚をあおったメディアは責任を取っていない。今回もうまく逃げ切るつもりかもしれないが、今はインターネットの世の中責任はしっかりと取ってもらう。
 2009年6月20日の午前中たまたまテレビをつけていたらNHKの番組双方向解説・そこが知りたい!「どこまでやれるかCO2削減~ポスト京都と世界~」』という番組が始まった。出演者は以下の通り。

【解説】嶋津 八生,  藤原 正信,  室山 哲也,  加藤 青延,  百瀬 好道,  水野 倫之,  今井 純子,  【司会】藤澤 秀敏,  滝島 雅子

 
チャンネルを替えながらところどころみていたのだが、水野倫之が排出権取引について発言をしていた。
「京都議定書の目標を放棄したカナダは国際的に発言力がなくなっている。日本が国際的に約束した以上排出量(権)取引をしてでも目標を達成しなければならない。そのためには国民の税金を投入するのも当然のことだ。」
いったいこの馬鹿は何者か?と思ったが、すぐに馬脚を現した。この番組の直前に麻生太郎が京都後の我が国の中期目標として温室効果ガス2005年比15%減を宣言していた。これでも相当な数字なのだが、水野は2005年比21%減を主張していたらしい。そこを嶋津八生が鋭く突っ込んだ。
「水野さんは21%減を主張されているようだが、安定電源としては何をお考えですか?」
この「安定電源」という意味が水野には全く理解できなかったようで、頓珍漢な答えを繰り返すばかり。やがて業を煮やしたように嶋津が「だから安定電源は何ですか」と強い口調で追求すると水野はボソリと「自然エネルギー」と答えた。一瞬わが耳を疑ったが、もう苦笑するしかなかった。なるほど、この程度のレベルだから何%削減などと平気で言えるわけだ。さすがは温暖化論者、これでも国民から巻き上げた「視聴料」からギャラをもらっているのだろう。すかさず嶋津が「自然エネルギーは安定電源じゃないでしょう。」と食いつき場が怪しい雰囲気になったが、司会者があわてて止めに入りなんとか事なきを得た。
 それにしてもひどい番組であった。改めて近藤の偉大さがわかった。(笑)自称「公共放送」がこんな番組を垂れ流して国民を洗脳するとはこの国は一体どこへ行くのだろうか?そんな思いの中、唯一の救いは「双方向で」洗脳された視聴者の意見オンパレードの中で東京在住10代男性の「IPCCの主張はおかしいのではないか」という意見がテロップで流れたことである。こういう若者がいる限りまだこの国も捨てたものでないかもしれない。 

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